天草コレジヨ館では、戦国時代~江戸時代の日本のことを記した西洋書を収蔵、展示しております。

そのうち、もっとも重要な展示品として1586年にローマで印刷された『1582、1583、1584年の日本覚書 ならびに1583、1584年の中国覚書:1585年12月受領したイエズス会士書簡より』という西洋書があります。

450年前に実際にヨーロッパで印刷された書籍であり、希少な資料です。タイトルのとおり、1582年から1584年の日本でのキリスト教布教に関する展開が記録されてますが、著者は『日本史』の執筆で有名なルイス=フロイスとなっています。日本でのキリスト教布教を受け持ったイエズス会では、1579年から日本各地での布教状況に関する情報をとりまとめて一本化することとし、「年報」という形で報告書を作成しました。本書はその1582~1584年の年報が、ヨーロッパに送致された後に、大衆向けに編集されて出版されたものです。もちろん、グーテンベルク印刷機による金属活版で印刷されています。

現在、常設展では、1582年年報に所収されている、天草の河内浦(現在の天草市河浦町)を治めていたキリシタン領主 天草鎮尚(ドン=ミゲル)の今わの際の様子を記述したページを展示しています。この際、天草にキリスト教を伝えたルイス=デ=アルメイダ司祭が、ミゲルを看取っている描写も見られます。天草という一地域のできごとが、わずか4年後にはヨーロッパで出版されている、という当時の情報伝達のスピードにも驚きますが、450年前の書でありながら、状態もよく、コレジヨ館にとってもとても重要な収蔵品となっています。

さて、このような書籍には展示上の「泣きどころ」があります。それは、見開き2ページ分しか展示できない、ということです。

本書には、当時の日本全国の布教状況が記されており、みなさんがご存知の武将のことやどんなできごとがあったかが、これでもか、とふんだんに書いてあります。その中には、貴重な歴史情報もあるはずです。
しかし、展示では天草の2ページしかお見せできないので、少し残念に思っていました。

そこで、これからしばらく本書の他ページを画像と内容で、少しずつご紹介していきたいと思いますので、よろしければお付き合いください。


さて、まずは表紙をご覧いただきます。
パッと見て「X」がたくさん並んでいるとお気づきになられましたか?
これは、年号の10をあらわしているものです。

1582-1584年報表紙

エンブレムの下の段2行目にある「M.D.LXXXVI」がローマ数字(ⅡとかⅥとかの数字ですね)による出版年です。分解すると、「M=1000」「D=500」「L=50」「X=10」×3、「Ⅵ=6」なので、合計して「1586年」になります。

同じようにタイトルを見ると2行目は「M.D.LXXXⅡ=1582」、3行目は「M.D.LXXXⅢ=1583」「M.D.LXXXⅣ=1584」ということがわかりますね。そして「AVVISI DEL GIAPONE」つまり「日本からの報告」なのだと記しています。4行目には「Cina」つまり中国の情報もあり、それは1583・1584年の情報だよ、と記してあるので、結果、上記のようなとても長いタイトルになっているわけです。

中央エンブレムには、イエズス会の「IHSと十字架」そしてオーラや3本の釘などカトリック教会らしい意匠がデザインされています。

出版したのは「フランシスコ=ザネッティ」という人物で、この人は「Per」。パードレなので神父さんだとわかります。ザネッティはカトリック教会関係書の出版を手掛けていた人のようで、コレジヨ館の展示品では、グアルティエリによる『遣欧使節記』もザネッティの印刷のようです。



 令和5年8月19日(土)13時30分から、天草出身の造形作家
gajuさんを講師に、令和5年 天草コレジヨ館平和学習
「しゃぼんだまみたいなモビールつくろ!」を開催しました。

 モビール用の丸い紙に、絵の具を混ぜたしゃぼんだま液で
色付けし、紙の乾燥を待つ間に、グーテンベルク活版印刷機(復元)
を見たり、中庭でしゃぼんだま遊びを楽しみました。

 ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。


平和学習-2平和学習-1
平和学習-3
「長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産」
 世界文化遺産登録5周年記念
 天草コレジヨ館 「新収蔵品展」
4月28日から8月30日まで開催しています。

新収蔵品展-1


新収蔵品展-2

期間中、アンケートに記入いただいた方に粗品を差し上げてます。


 12月10(土)に予定しておりました市民講座「天草本を読んでみよう」を

都合により、12月17日(土)に変更して開催しました。

12月10日に申し込みをいただいた皆様にはご迷惑をおかけしましたことを

おわび申し上げます。


今回は金句集と、羅葡日対訳辞典の2冊を取り上げました。


金句集はことわざや故事成語を学べ、戦国時代にすでに通用していた

ことわざを知ることができます。


羅葡日対訳辞典は、世界初のヨーロッパ言語と日本語の対訳辞書です。

日本の言葉のグローバル化は天草から。これは誇れる歴史であると

話されました。


参加された方々は、ポルトガル式ローマ字の読み方に苦労しながら

日本語(漢字)の字から意味が分かることの重要さを体感されていました。


市民講座(中山)



 11月26日(土)13:30から天草コレジヨ学Ⅱを開催しました。


 講師に西村洋信先生をお招きし、活字の鋳造体験と、天草コレジヨ館で展

示中の復元されたグーテンベルク活版印刷機を使って、簡単な名刺の印刷

体験を行いました。


1 活字鋳造(溶けた金属を型に流し込む)


コレジヨ学Ⅱ-1



2 文選作業(活字を選んで文選箱に並べる)


天草コレジヨ学Ⅱ-2



3 版組(活字を並べて版を作る)


天草コレジヨ学Ⅱ-3



4 参加されたみなさん


天草コレジヨ学Ⅱ-4

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