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その2.

 

天草市 第3回 定例市議会

 

6月12日の質疑の中で、天草市の小中学校でデジタルテレビの購入を計画していることについての質疑がありました。

 

 

国の21年度補正予算で文科省からスクールニューディール構想としてあげられている中に、デジタルテレビや学校用コンピューターの整備があり、天草市でもデジタルテレビの購入を行おうということで提案されたものだと思います。

 

「スクールニューディール構想」について、少しだけ紹介しておきましょう。

 

今回の補正予算の目的は、話題の経済危機対策であることはご承知の通りです。地方自治体への臨時交付金がありますが、これらと組み合わせて「スクールニューディール構想」があり、全国の学校の耐震化、太陽光発電設備の導入、学校などのデジタルテレビや学校用コンピューターを整備しようというものが文科省から出されています。

 

雇用創出、経済波及効果、地域活性化、国際競争力の向上を行うために文科省では「21世紀の学校にふさわしい教育環境の整備」を行おうということで上記のような整備をおこなうことにしたものです。

 

 

 

そこで、文科省が推奨している50インチ以上のデジタルテレビを購入して学校教育に使うというものですから、表面的にとらえると問題はないと思うかもしれません。

天草市の用途としては、教育テレビの番組にはいいものがあるので、録画して見せるそうです。型式は据え置き型ではなく移動型のTVを購入するという説明でした。

 

これからの質疑がきょうの気になるところです。

 

 

質問 「文科省が進めているスクールニューディール構想のひとつとして購入するのだと思いますが、電子黒板として使えることも考えてはどうでしょうか」といった趣旨の提案が議員さんからありました。

 

(注記:文科省は、学習効果を上げるために電子黒板としての利用をも推奨しているのです。)

 

 

しかし行政のみなさん沈黙。(TVと電子黒板の関係がおわかりにならなかったのではないでしょうか?)

 

行政の回答 「後で調べて回答します。」

 

 

全部が全部知っていなければならないということはありませんが、教室でのTVの使い方として教育テレビを録画して授業のときに流すといった使い方だけだと思っておられたとすると問題は大きいと思われます。

現在のICTを使った教育との関連をどのように把握し、これまで執行されてきたのか心配になりました。

天草の小中学校では、どのような使い方をし、現在の課題がなになのか明らかにしないままに提案されているのかなと誤解を受けてしまいかねないように思われます。

アナログTVでも制限はありますが、電子黒板として、使えるはずなんですが、使っていないのでしょうか。使っているとすれば、困っていることがあるのではないでしょうか。だからその課題を解決するための提案であるのだと思います。

 

文科省がねらっていることを少し解説しておきます。

 

ご承知のように2011年7月にテレビのアナログ放送は終了します。文科省は学校の教室にあるテレビをデシタルテレビに移行することにしています。このねらいは、単にデジタル放送を受信できるようにするだけでなく、この機会に教室のICT環境をより良いものに進化させることによって、児童生徒の興味関心を引き、わかりやすい授業を実現することにあるのです。

これまで教室におけるICT活用では、プロジェクターを提示装置として導入するケースもありましたが、使用するたびに準備のための手間がかかることから、使いたいときにすぐ活用できないという課題がありました。

デジタルテレビなら、予め接続された多様なメディアをすぐに活用できるというメリットがあるのです。

新学習指導要領が完全実施される小学校2011年、中学校2012年に向けて、デジタルテレビを核とした円滑なICT活用が期待されているのです。

 

ただし、すでに小中学校、高校、大学においては、教室での授業にICTを有効に活用することによって、興味関心を引かせると同時に、効率的で、効果的な授業を行うことが重要であることが認識され、普及してきているところでもあります。

 

これらを推進するためには、授業設計が大事であり、一昨年全国ICT研究発表会が熊本大学で開催されました。

たくさんの先生方が全国から来られ、受講者への効果、教える側の業務の効率化などのたくさんの事例や課題について発表、質疑が行われました。

 

ICTを活用した授業設計を行うためには、インストラクショナル・デザインができていなければ、単に映像を使っているといったことになりかねません。

 

インストラクショナル・デザイン(教育工学)の分野では、現在では熊本大学は日本のトップにあるといえるかもしれません。

全国から先生方を集めています。必要があれば、相談をされればよいかと思います。

 

デジタルテレビというハードを購入しても目的を達成することは困難なのです。文科省はICT環境を整えるということで提案しているのです。

 

天草市では、デジタルテレビとICTとをどのように展開しようとしているのかといったことをぜひ説明してほしいと思います。

 

 

 

デジタルテレビを購入すれば、電子黒板としても使えます。電子黒板として使用するためには、50インチ以上のデジタルテレビが有効です。

そして、現在どのようなハードがあるか調査し、不足するハードを購入しなければならないでしょう。

 

理科では、数学(算数)では、国語では、社会では、どう使うことを考えているのかなどといったことが、すでにできあがっていなければ必要なハードをリストアップするのは困難です。

 

そこで、インストラクション・デザインを理解され、授業設計ができる方が必要になってきます。これまでの蓄積も問われることでしょう。

 

天草の中でICTを使って授業を実践されている先生は、いらっしゃるはずです。

現在、文科省などの呼びかけで、非常に多くの学校が、インストラクション・デザインを使ってICTを活用した授業設計を行い、実践されている先生が多くなっておられます。

 

文科省が補助金を出してくれ、購入するとすれば、ICTを使った授業の現状を十分調査され、現状の課題を明らかにして、文科省がねらいとしてる授業ができるようにしてほしいものです。

 

天草市がこれからどのような対応をされるか、住民は注視したいものです。

 

そうでした、「天草webの駅」を支援してくださっている学生サポートの教室でのICTへの取り組みはどうなっているのかも大事なことだと考えます。

違うゼミでしたが、6,7年前にCAIを開発して紹介されていたとき、インストラクショナル・デザインと行動心理学の必要性についてお話をしたことがありました。

教育工学会の会員または学生会員がどの程度いらっしゃるか分かりませんが、学生の時に基礎をしっかり身につけておいてほしいものです。

             

 

 

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