福島原発電源系統1

もう、そろそろ書いてもいいかなと今まで躊躇していましたが、意見を述べてみましょう。

        

     

テレビ、新聞などいつものように、「情報公開」が遅れたとか、「仮設システムの

もろさ露呈」とかいうことを挙げて「東京電力の対応の悪さ」を攻撃されておられます。

抽象的には、そうかもしれません。

     

 

事故の原因を先ず報道することが、最初に行うことではないでしょうか。

東電が「公表できない」ので、把握できない?そうでしょうか。

        

事故の原因を把握するために、本当に必要な情報が取材できていないように思われます。

取材できないとの思い込みかもしれません。

 

・事故発生前の電源系統がどのようになっていたか。(系統図で説明してください)

・どの遮断機がトリップ(自動的にリレーで開放)したのか。

・動作していたリレー(継電器)はどの部分に設置されていて、その種類はなにか。

    

 

    

   

今回の場合、少なくとも以上のことを東電に聞くことが、必要ではなかったでしょうか。

 

動作したリレー(継電器)の種類によって、事故の原因が分かるはずです。

地絡事故か、短絡事故か。どの部分か。

どのしゃ断器が事故によって開放されましたかによって、事故の範囲と保護強調が

うまく取れていたかが分かるでしょう。

   

 

           

今回の事故の仮設M/C(メタルクラッド略してメタクラ)盤内の写真が公開されてました。

以下に借用して表示します。

 

福島原発M/C(メタクラ)盤内

この写真を見ると「仮設M/C」で、小動物が入ったとなると上の系統図で(5B)でしょうか。

(5B)のしゃ断器の電源側でしょうか。負荷側でしょうか。

CT(電流変成器)の上で相間短絡が起きています。

 

  アークがとんでいる跡を見ると3相短絡を起こしているようです。

小動物の大きさからして、まず小動物によって単相短絡を起こし、アークがとび、

3相に広がったようです。

     

      

 

     

ここで大事なことは、電気系統では、地絡だとか短絡だとかの事故が発生したら

停電範囲を最小にするように、しゃ断器間の保護強調をとることが、

これまた初歩の初歩のはずです。

 

今回の事故の場合の停電範囲は、

「共用プール冷却設備」、「4号機SFP代替冷却設備(二次系)」と

「3号機SFP代替冷却設備(1次、二次系)」の3設備だけが停電になるはずです。

事故点がCTの電源側であれば、(4A)のしゃ断器で、

CTの負荷側であれば、(5B)のしゃ断器が開放されるでしょう。

 

今回のように広範囲の停電状況からすると初歩の初歩であるはずの「保護強調」が

図られていなかったということになりそうです。

これは、とてもはずかしいことで、東電としては、外部に出したくない情報でしょう。

 

東電には、おおよその事故点と事故原因は、公表するはるか前から分かっていたが

技術的にも事故内容がお粗末すぎていえなかったのかもしれません。

東電の原子力部門の技術力は、余りにもお粗末すぎるという非難を受けることになりかねません。

 

 

「しゃ断器盤内に、小動物が入った。」ここでも東電がメディアに公表していることは、

屋内であれば、入らなかった。仮設だったので発生したといったようなことをいっていますが、

 

M/Cなどに、小動物が入らないようにするのは、仮設であっても当然の処置です。

一般的には、むしろ仮設であれば、より慎重になるのではないでしょうか。

 

電気設備内部は、温かいので、ねずみや蛇などが入るのは、ちぃちょい起きることです。

 

工事業者さんが、急いで工事をやったとしても貫通部などは、ゴムやパテなどで、塞ぐことは

検収するときに、東電のスタッフは必ず確認すべきことです。

 

基本中の基本のことが、おざなりにされるという東電内の技術者の教育は、非常に不安では

ないでしょうか。  

    

  

 

     

まとめてみると

・電源系統を構成する上で基本中の基本の「保護強調」がとれていなかった。

・メタクラ(M/C)などのケーブルなど貫通部から小動物侵入を防止するという

 基本中の基本の対策がとられていなかった。

 

・はずかしいのと原子力に対する非難が怖くて、正直に公表できなかった。

 

ということではなかったでしょうか。

 

素人が、上記の様な系統図しかなく、判断に迷う点もありますが、

わずかですが現在あった資料からいえば以上の様なことを推測します。

 

取材されるときに、あまり感情的にならずに、技術面のことは、技術面から確認して

報道していただくことが必要ではないかと考えます。

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