この展示の目玉は全長37mに及ぶ「死者の書」が日本で初公開されるという点。開催二週目に入ってましたがかなりの来館者の数です。
古代エジプト人の死生観及び葬儀祭礼のあり方が見てとれます。死者の書とは死後に神々の前でどう振る舞えばイアルの野(仏教でいう浄土)に行けるかを死者に示すものです。儀礼書みたいなものですね。棺桶の内側にも記されたようですが暗くて見えないだろうし記す意味があるのか疑問ですが(苦笑)。
東洋において仏陀の人生哲学がやがて葬式仏教に変わっていった経緯を見るが如く、古代エジプトにおいてもこうした祭礼が商品化されていったのかなと思います。あの世に行ってもこの世と同じ豊かな暮らしがしたいと思う人間の浅はかさは洋の東西を問わないようです。人間の思考の根本を考えさせられる展示でした。