朝顔の紺のかなたの月日かな
一輪の朝顔がたたえる深い紺色が、はるかな歳月への思いをいざなう「月日」は越し方だろうか、行く末だろうか。
今朝もまた雨に降られるのだろうかと、少し憂鬱な気持ちで家をでましたが、雨に降られることもなく気持ちよく出勤できました。
通勤途中で、道路の反対側を見ると、朝顔が紺色の花を咲かせていました。毎年、今の時期なると咲き始め、通勤途中の私たちを楽しませてくれます。
しかし、朝顔は、朝開き夕にしぼむことから、「槿花一日の栄」 はかない栄華に例えられる花でもあります。
一朝の夢
2008年 第15回 松本清張賞を受賞された、梶よう子さんの時代小説は、朝顔栽培だけが生きがいの同心・中根興三郎が、宗観という武家と知り合ってから、思いもよらぬ形で「桜田門外の変」に巻き込まれていく時代小説です。
朝のうちに開いていた花はすでに萎んでいる。その代わり、明日の朝にはまた別の蕾が開く。
朝顔は花の色だけでなく、花弁に筋や斑紋が入る花模様も多種多様で、日の出とともに起き、丁寧にひとつひとつの花を眺めるのが興三郎の何よりの楽しみだった。・・・・・・・・・興三郎には、夢の一朝があった。黄色花である。・・・・・・・・・・「あせっちゃいけません。黄色はその人の一生に一度だけの朝顔からのご褒美だ」 隠居はほっくりと笑みをを浮かべた。「どんな朝顔でも出会いはその時限りの一期一会。一朝の夢ですよ、植木屋さん」 はっと気づいたときには、隠居の姿はもう雑踏の中に飲み込まれていた。
明治二九年、熊本で中輪花の黄色花が咲き、大きな話題となったという記録が残っている。だが、その作者は不明である。(一朝の夢)より
一朝のために咲く朝顔、少し早起きしてその花を楽しんでみてください。愛情を持って楽しんでいる人に、朝顔は、またきっと堅い約束を守ってまた花を咲かせてくれます。花言葉は「結束」「愛情の絆」