高浜地区振興会
天草下島の西側に位置する高浜地区は、雲仙天草国立公園内の自然環境が豊かな景勝地であり、日本の水浴場88選に県内で唯一選ばれた「白鶴浜」や、天草西海岸の海岸線が美しい地区です。
また、江戸時代から天草陶石や高浜焼といった陶磁器で栄えてきた地区で、陶磁器産業を根付かせてきた上田家の建物「旧庄屋上田家」や、和洋折衷の昭和初期時代の館「旅館白磯」は共に国の有形文化財であり、歴史的建造物が数多く残っています。
今回は、有形文化財の中から「旧庄屋上田家」についてご紹介します。
(旧庄屋 上田家)
天草町高浜地区の旧庄屋上田家は文化12年(1815年)に建築されました。
この上田家には、かつて庄屋が村役の主な者を集め、代官所のお触れや村法を守るよう読み聞かせたであろう大広間や、年中諸行事が幾世代も続けられて来たと伝えられる土間や庭があります。秋の収穫祝いなどもすべて庄屋家を中心に行われていました。麁木の梁 、桁を天井に横たえ、年月を物語る黒ずんだ柱や、家敷の奥、そして部屋が、遠い昔を今ここに再現しています。
高浜村は文化11年(1814年)の七月末に、村の中心150軒余りが消失するという大火がありました。庄屋家もそのとき類焼し再建したと言われています。再建にあたって、ある程度は村人が費用を負担すべきでしたが、村の三分の一を消失したので、庄屋家から「村方困きゅうに付、私一手に普請に御座候(村が疲弊しているので、私だけで再建を行います)」と代官所に申し出ています。しかし村民は一軒に三日間の公役としての労働を義務づけられ、地ならし等を行い、今日の庄屋家は完成しました。
上田家は屋敷の総面積3,300㎡、建物面積369㎡であり、庄屋としての格式の高い屋敷構えを今に伝えています。大きな屋根を載せる母屋には、文人趣味に彩られた数寄屋の離れが増築され、与謝野晶子ら数々の文人・墨客が訪れています。それらを取り巻く庭園は、裏山の一部を取り込んだ大きなもので、泉水や石組で品良く構成され、サルスベリやモミジなどの大木に、この屋敷の長い歴史を見ることができます。
現存する江戸期の庄屋家は天草の歴史を知る上でも極めて貴重な存在であり、県指定文化財に登録され、平成18年には文化庁により有形文化財として上田家住宅主屋をはじめ、住宅離座敷、正門、表玄関、裏門及び塀が登録されました。
【旧庄屋上田家】


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