諏訪宮秋季例大祭

 

場所:下津浦諏訪神社

下津浦諏訪宮

 

このお祭りでは、

太鼓の音に合わせて、古色豊な行列が練り歩き、太鼓踊りが演じられます。

 

鳥毛.JPG 鳥居.JPG

 

・由緒

下津浦諏訪神社の創立年月日は不詳なれども、社伝によれば往年

佐々木四郎左衛門源高綱(ささきしろうざえもんみなもとのたかつな)、

靖国廻り中、信濃国、諏訪宮の御分霊を頂き来りて祭祀勧請し

寛文2年8月16日(旧例祭日)

佐々木吉兵衛尉源行光奉仕の時村社として神幸祭を創始す。

と神社記にあります。

 

祀られている神様は『健御名方神』(たけみなかたのかみ)

風と水を司る竜神の信仰や

風と水に直接関係のある農業の守護神として信仰されています。

 

・太鼓踊り発祥のいわれ

太鼓踊り2.JPG 

太鼓踊りは、元禄4年7月28日、佐々木四郎左衛門源高綱の子孫

佐々木但馬守藤原正次(ささきただうまのかみふじわらまさつぎ)が、

天草の国下津浦郷の諏訪宮大宮司に任ぜられた時、

その祝いに土地の古老、今福周四郎が創作し、

若者に指導して奉納したことに始まります。

また、天草島原の乱後の民の民心安定のために行われていたものともいわれています。

以来、世々代々受け継いで、戦後もしばらく続きましたが、

過疎化に伴う若者達の流出で、36年にとうとう中断に追い込まれてしまいました。

高度成長の荒波の中で人間の心が失われつつあることを憂いた

青年団団員が「ふるさとの心」を取り戻そうと昭和45年に復活。

その後、平成5年からは子ども会の皆さんによって伝統が受け継がれ、現在に至ります。

踊りは、お祭り行列で神社まで行く道踊りで始まり

続いて境内に入ってから神社に奉納する劇踊りを踊ります。

最後に集団美を表す総踊りを行います。

 

・劇踊り

太鼓踊り1.JPG 

現在は

「獅子討ち」「ワック」「源九郎狐」「岩見重太郎」「鉄山皿山」「熊谷直実」「法界坊」

が、踊られています。

 

「獅子討ち」

この劇は、狩人がししを見つけ、ねらいをつけて追い回しドーンと撃ちます。

真っ暗闇なので、たいまつに火をつけて探しますが、

木の根に引っかけて無くしてしまい、手探りで探します。

何かにさわり、驚いて飛び退き心を落ち着けてもう1度さわってみると、

人間を殺していたという話しです。

 

「がま釣り(ワック)」

この劇は、漁師が釣りに出かけ、池で大きなワックをみてビックリします。

漁師は餌をつけ釣りにかかりますが、ワックばかり寄ってきます。

逃げても逃げても寄ってきます。

魚がかかったと思ってずっと引き寄せてみてもやっぱりワックです。

漁師は慌てて針をはずして逃がしてやります。

ワックは跳ねて逃げますが、口元を痛そうになでていたという話しです。

 

「源九郎狐」

この劇は、源九郎が鼓をたたいて歩いていると、いつの間にか子狐がついてきます。

どうやらこの鼓が狙いのようです。

追い払っても追い払ってもついてきます。

それを知り、やろうかやるまいかと思っていますが

つい、ちょっとからかいながらもやることにします。

子狐はおそるおそる貰い、源九郎から遠ざかると非常に喜んだという話しです。

 

「岩見重太郎」

この劇は、松ヤニや汚れが付いたりして、

体中にこけが生えたような大きな年老いた猿がいて、

これを退治するため岩見重太郎が箱に入って隠れています。

猿が開けると同時に斬りかかりますがなかなか切れません。

そこで頭を使い、猿はさるまねをするので、自分で切らせようとしますが、

切れるところがありません。

よく考え、こけが生えていないところが一カ所あります(脇の下)、

自分で体を縛らせついに大きな年老いた猿を退治したという話しです。

 

「鉄山皿山」

この劇は、侍が女中に重宝な皿10枚を持たせ、数をただすように命じます。

女中が手を洗いに行った間にそっと1枚を抜き取り懐の中にしまい込みます。

女中が皿を数えますと1枚足りません。

侍が斬りかかると「もう一度数えさせてください」と言います。

また数えてみますが、やはり1枚足りずに斬り殺されてしまいます。

侍が皿を持ち帰る所に幽霊がでて後ろ髪を引きます、切っても切っても離れません。

自分の髪を切って逃げますが、まだ追いかけてくるので

ついに隠し持っていた皿を投げ返すと幽霊は消えてしまったという話しです。

 

「熊谷直実」

この劇は、平家物語にでてくる熊谷直実と平敦盛が戦うところです。

平家の平敦盛は馬を海の中まで進めて逃げていると

源氏の熊谷直実が「敵に後ろをみせるのか」と呼び寄せるので、

すぐ引き返して戦います。

刀では勝負がつかず、力でやってみせると熊谷の方が一枚上手で、

よく見ると熊谷にとって敦盛は、ちょうど自分の子供の年頃なので逃がしてやります。

ところが、山の上から源氏の者が見ていて叫ぶのです。

「熊谷直実は二心あり」

そこで、また叫んで納得させ自分も泣きながら、首をはねるという話しです。

 

「法界坊」

この劇は、法界坊がすばらしい巻物を持っています。

この巻物を誰でもが譲れ譲れと言ってくるので、穴を掘って埋めることにしました。

ちょうどその時、侍が来て譲ってくれと言いましたが譲りませんでした。

侍は、坊主を殺して巻物を持って帰ります。

すると坊主は幽霊になり、その後ろ髪を引きます。切っても切っても離れません。

自分の髪を切って逃げますがまだついてきます。

幽霊の方に巻物をみせてやると幽霊は消え失せるという話しです。