宮野河内地区の大蓮寺に作家の石牟礼道子さんが産湯に使ったとされる井戸があります。
令和2年3月11日、井戸の脇に石碑が建立されました。(熊本日日新聞にも掲載されました)
石牟礼道子さんは昭和2年3月11日河浦町生まれ。小説家、詩人、文学者と多様な側面を持つ作家。
水俣病患者の苦しみと魂の叫びを描写し、大きな反響を呼び、水俣病問題が社会的に注目される契機になったと言われる石牟礼氏の代表作が水俣病患者の苦悩を記した著書「苦海浄土」である。
石牟礼氏は2018年2月、90歳で逝去されましたが、生前(2008年10月)に大蓮寺を訪れて同寺の高坂住職と話をされています。
石牟礼氏は幼少期に母親から「お寺様の井戸から水をいただいていた」と繰り返し聞かされていたと言い、「一度生まれ故郷に来たかった」と話されたそうです。
高坂住職は当時を振り返り、「石牟礼さんは井戸を感慨深そうにずっと見ていた」と話される。
「石牟礼道子女史生誕産湯の井戸」と彫られた石碑は「石牟礼氏の生誕地が河浦であることを後世まで伝えたい」と話しておられました。
井戸と石碑 石碑アップ
石牟礼氏生年月日 井戸の中にはいまだ滾々と水が湧き出ている
余談ですが、水俣病に関しては、関連映画として2020年2月21日ジョニーデップ主演の「MINAMATA」がベルリン国際映画祭で初公開となりました。日本での公開は未定ですがぜひ公開されて欲しいものです。
河浦町宮野河内...ひっそりと静寂を守りながら在る井戸と、その隣で生誕の地へ残した石牟礼氏の思いを後世に伝えるため建立された石碑。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?
2020年03月19日更新