平成23年(2011)5月1日(日)発行の第29号大江地域づくり振興会だより から
以下の文章を書かれたのは、木下鍈二氏(大江八幡宮第十五代宮司:天草町元教育長)です。この文章を書かれてから、しばらくして亡くなられています。奥様の許しを得て、この文章を掲載します。
*********************************************************************************************
二台のピアノ
大江小PTA会員6年間、実に多くの思い出が走馬燈のようにめぐります。
新校舎の建設、百周年記念事業、運動場が海のようになった大水害、よくもまあいろんなことがあったものですが、その中でも特に語るとすれば、「二台のピアノ」秘話ともいうべき事件です。
福岡県北九州市の小倉に大きく事業を営む赤崎末彦氏が、大江小学校にグランドピアノを御寄贈下さったのです。
ピカピカのピアノが講堂にでんと置かれ、美しい音色が奏でられて、子どもたちにも、先生方にも夢のようだったと思います。保護者の方たちにとっても本当にありがたく感謝しておりました。
一週間ぐらいたった頃、大変なことが起こったのです。ピアノが燃えているのを、道路を歩く人が発見したのです。大事に至らずボヤで済んだのですが、ピアノは使用不能です。
深く責任を感じた私は、立場上、赤崎社長宅のところにお詫びに行くことにしました。「全く申し訳ありません」何度も頭を下げる私に、「もう一度送りますたい!」こともなげに語る赤崎氏のお言葉はまさに「天の声」でした。
感謝! 感謝! 大感激!
*********************************************************************************************
ピアノの寄贈をいただいたのは、昭和50年(1975)10月28日のことです。
ちょうど学校も、創立100周年記念。その100周年記念式典のなかで、ピアノのお披露目がされたようです。
このホームページ内の校歌の伴奏も、この御寄贈いただいたピアノが奏でたものです。
赤崎末彦様は、なんと当時40歳代半ば。
その後47歳の時に病気で亡くなられたということを、先日赤崎様の奥様から電話でお聞きしました。
二台のピアノを寄贈とは、なかなかできないことですね。
現在も体育館にて現役です。今年の閉校記念行事そして、最後の卒業式でも活躍してくれることでしょう。