遺言でなし得る事項は、「遺言事項」といい、民法で細かく定められています。遺言事項以外のことを遺言で定めても遺言事項に該当しない部分は、遺言としての効力を生じません。

商法第675条1項但し書では、生命保険の契約者は、別段の意思表示をすれば受取人を指定、変更できる旨規定されています。では、生命保険金の受取人を遺言で変更できるのでしょうか。商法第677条によると、生命保険金の受取人の変更の通知は、保険会社に到達して初めて効力が生じる。と規定されており、相手方のない一方的な意思表示である遺言での生命保険金の受取人変更は、保険会社に対抗できないことになります。

このような曖昧さを無くす為、平成22年4月1日より≪保険法≫が施行されます。商法は、明治32年制定後、保険に関する改正がなされていません。この間社会経済情勢は大きく変化しています。規定の内容をこれに合わせ、契約者を大幅に保護する為に今回の保険法が施行されます。その第44条及び73条により遺言で生命保険金の受取人の変更が出来る旨明文化されました。遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険会社に通知することでその効力が発生することになります。

2010年03月03日更新
キーワード: 遺言