2011年11月30日

                                      天草を全国にPRするぞ~!!!

     Webの駅では有名(笑)でも ☆甘口おケイ☆ 全国版ではまった~~く無名!

                     Kのアメーバブログ奮闘記

                       これは アメーバブログ11月30日付けの記事です

 

『銀天街物語』(第七話)親友

文と絵  K(ケイ) 

「 ・・・それで? その、コウジさんだっけ~ そのあとどうしたの?」

アイスコーヒーが入っているグラスの氷を ストローで突っつきながら

コマツバラ アサカは 興味津々といった様子で ユウコに尋ねた 

アサカの両親が ユウコの店と同じ路地で 小料理屋を営んでいる

ため 二人は小さい頃から 商店街を我が家の庭のようにして遊んだ

仲である   幼稚園から小学校・中学校と ずっと同じ学校に一緒に

通い 何度か同じクラスになったこともある     

当然  二人同じ高校に進学するものと思い込んでいたユウコだが

中学三年の時 アサカから意外なことを打ち明けられた 

「 私ね 苓明高校を受験することに 決めたから!」

将来 どんな職業に就きたいか まだはっきりとした目標がない

ユウコは いちおう大学だけは卒業しておこうと 高校は進学校の

天草高校に決めていたのだが お菓子作りが大好きで 将来は

洋菓子店を開きたいというはっきりとした夢を持つアサカは 

その実現に役立つ食品科学科のある苓明高校への進学を

選んだのであった

無二の親友の私に 前もってなんの相談もなく 違う高校に行くことを

決めちゃって・・・ 私 アサカが傍にいないと すごく寂しいのに ・・・  

二人の友情も これまでかと・・・ その時は アサカに対して 憤りの

ようなものさえ感じたユウコであったが 二人とも希望どおりの高校に

入学し いざ 学校に通いだしてみると お互いの運動会や文化祭を

見に行ったり いろいろと学校の情報を交換したりで 幸い 親友の

関係が壊れることはなかった

今日も ふたりして 銀天街ポルトの中の喫茶コーナーで

明日からの夏休みの計画や ユウコの身に起きた五日前の

あの出来事を話題に ずいぶんと長いこと おしゃべりに興じていた

「 ん? どこまで話し・・・ そうそう フルカワさんとこに一晩泊まった

翌朝 彼 ウチに 荷物をとりに戻ってきたんだけど・・・

戻りのタクシー代にってお母さんが彼にもたせたお金を 全部

そのまま返してたのよね・・・ ずっと歩いて帰って来たんだって~ 

フルカワさんの家 意外と ウチから 近かったのよ!

ホラ 校舎から ちょっと離れた天高第二グラウンド・・・

アサカも よく知ってるよね 」

「 ああ 春に ユウコの運動会を見に行った あのグラウンドね 」

「 そう! あの近くにあるミカン畑のすぐ傍の家に フルカワさん

一人で住んでるんだって  体育の授業で 私 しょっちゅう 彼の家の

近くを通ってたんだよね~ 」 

「 ふ~ん ・・・ そうなんだ~ ・・・ ねえ!それより コウジさんの

ほうはどうしたのよ? 彼って 熊本市内の大学に 通ってるんでしょ

もう 熊本へ 帰っちゃった? 住所 聞いてる? 電話番号も 聞いた?

メールアドレスは 知ってるよね? 彼って イケメン???」

「 そんなに 次々と 質問されても ・・・ 実はね~ 彼 ・・・ 」

その時 ポルトの表玄関付近で 聞きなれた大きな声がした

    

 

「 そこの 女子ぃ~! ま~た ここを 喫茶店代わりにしてるな~

いくら ここが涼しいからって 100円のサイダー1本で いつまでも 

ねばってんじゃねーぞぉ~ 」

そう言いながら ユウコの幼なじみで 同じ高校に通っている

リョウスケが ズカズカとテーブル席の二人のほうへ歩み寄ってきた

 「 サイダーじゃないわよ  ジンジャーエール!」

 「 わたしのアイスコーヒーは 150円よ!」

 ユウコとアサカは むきになって リョウスケに反論したが 確かに

彼のいうとおり ポルトが完成してからは ちょっと二人でおしゃべり

したい時などは お互いの家のすぐ近くのポルトの喫茶コーナーを

ファーストフード店代わりに 利用することが多くなっていた

ポルトは 正式には 天草宝島国際交流会館ポルトというのだが

オープンして数年経った現在も ユウコとアサカは ちゃんと正確に

正式名を覚えることが出来ないようである 

 ともあれ ‘ ポルトでお茶する ’というのが 最近の二人の

マイブームになっているようだ    

この時期 クーラーが効いている場所で 涼みながら おしゃべり  

できることが ポルトをお気に入りの理由らしい

「 コマツバラ 久しぶり~  なんか 新作のお菓子 開発した?

おれ いつでも毒見 ・・・ じゃない 味見してやるぜえ~~ 」

「 味オンチのリョウスケに 私が作るスイーツの味見役は無理無理 」

「 リョウちゃん ポルトに 何か用でもあるの ・・・?」 

「 ん!? ああ これだよ これ ・・・ 」

リョウスケは ズボンのポケットから四つ折にした紙を取り出して

丸テーブルの上に広げた

「 ・・・なんかの申込用紙? ・・・へえ!いっつも 汚い字書いてる

リョウちゃんにしては 丁寧に書けてるじゃん! 

でもさ~  この街中観光ボランティアって 何~?」

「 シモガワラ おまえ な~んも 知らないんだな~ 

天草に観光にきた人たちのために 民間のボランティアが 街を

案内してあげるんだよ

おれ夏休みを利用して その街中ボランティアになってみようかな

って思ってさ~   今日は その申し込みに来たってワケ! 」

「 へぇ~  天草大好きっ子のリョウちゃんらしいバイトだよね

で、時給 いくらぐらい もらえるの?」

「 シモガワラ なに聞いてたんだよ~  たった今説明しただろが~ 

バイトじゃないって ボランティア!

お金なんか もらえないよ~  あ、でもさあ~ ここら辺の街中を

案内しながら 途中 何箇所かのお菓子屋で休憩するんだって!

甘いもの タダで食えるんだぜ~~  

もしかしたら お昼の弁当だって でるカモなあ~ 」

「 あっ それ いいな~! 私も そのボランティア やりた~い!」

大好きなスイーツが無料で食べられるとあって アサカが ちょっと

興味を示した

「 何言ってるの! アサカは 八月に東京である全国高校総合

文化祭に出場するんでしょ! 明日から これまでの練習の総仕上げ

だって話してたばかりじゃない 」

ユウコは いささか呆れて アサカの顔を見つめた 

親友の顔は 野外での練習で すっかり小麦色に日焼けしていた

彼女は 熊本県立苓明高校で 郷土芸能部に所属している

全国的にも かなり有名な天草ハイヤの 優秀な踊り手なのだ

入学直後 彼女は スイーツ・クラブという同好会を立ち上げ

メンバーたちと オリジナルのスイーツを考案して 県内あちこちで

開催されるスイーツコンテストに応募し 何度か入賞もしてきたのだが

郷土芸能部の顧問の先生からも ぜひにと入部を勧められたのである

スラリとした容姿 愛くるしい笑顔 素晴らしい運動神経の持ち主

であるアサカには 今でも いくつかの体育系クラブから勧誘がある 

一方 ユウコのほうは 運動が苦手なうえに 人前で踊ることなど

恥ずかしくて とてもできそうにもない ・・・ 実に対照的な二人である    

「 エヘッ そうでした~  大会で金賞をとるために  ここ三ヶ月間

放課後毎日 猛練習してきたのに あしたっからは も~っとハードな

練習が待ってるのよね~   あ~あ せっかくの夏休みなのにさ~ 」

「 文句いうんじゃないって コマツバラ~  東京に行けるだけでも 

羨ましいぜ~    シモガワラは 夏休み どうすんだ?  あ、そうそう

おまえは どーせ いつものよーに 店の手伝いするんだよな

おまえだけ 代わり映えがしない夏休みで ゴシュウショウサマ!」

「 べつに いいモン! 私、お料理の手伝い キライじゃないから 」

「 ま、お互い 有意義な夏休みにしようぜ! さてと 俺 この用紙

窓口に提出してくるから ・・・ じゃあな! 」    

ポルトの一階には 天草の観光倶楽部の受付カウンターがあり

リョウスケは その方向に 歩み去って行った

ユウコは その彼の後姿を 何となく眺めているだけであった

もしも ユウコに 未来を予知できる能力が備わっていたら

彼女は リョウスケの夏休みのボランティアの計画を なんとしても 

止めさせたに違いない

しかし 今の彼女には 幼なじみのリョウスケが遭遇する怪事件を

このとき想像することなど まったく 不可能なことだった

「 見て見て! ホラ!  リョウスケったら~ 観光倶楽部の職員さんを

前にして あ~んなに緊張してる~! コチコチになってるう~~

なんか 就職活動で 会社のエライ人に面接されてるみたい 

キャハッ! リョウスケ けっこうカワイイ!」

アサカが 白い歯を見せて 笑った

ユウコ リョウスケ アサカ  三人それぞれの夏休みが

明日から ・・・始まる ・・・!

*おことわり*   これは あくまで フィクション小説です

 

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