天草を全国にPRするぞ~!!!
Webの駅では有名(笑)でも 全国版ではまった~~く無名!
Kのアメーバブログ奮闘記
これは アメーバブログ12月3日付けの記事です
『銀天街物語』(第十話)真実
文 ☆ K(ケイ)
「 つまり アサカは その・・・ コウジさんが 実体のない幽霊か
なんかだと言いたいわけ? アハッ! その冗談 笑える ~!」
ユウコは ワザと明るい調子で その場の重苦しい雰囲気を
変えようとしたが 親友の彼女は 相変わらず真面目な顔で 声を
潜めながら言った・・・
「 あの時ユウコ 私に こちらがコウジさんって紹介したじゃない
それまでまったく気づいてなかったのに ユウコが 手で指し示した
方に スーッと目を移すと そこに コウジさんが立っていたのよね
いたっていうか ・・・ 存在を認識させられたっていうか ・・・
なんだか すっごく奇妙な感覚だった ・・・
だから 私 彼と握手してみたのよね
幻ではなく ほんとに存在してる人間なのかなって思って ・・・ 」
「 そっか~ なるほどねえ~~
あの握手は そんな意味があったのか ・・・
で、どうだった? コウジさんの手 氷みたいに 冷たかった?」
「 んも~っ! 真面目に話してんのに ~ ちゃかさないでよ!
ちゃんと血の通った あったかい手でしたよっ!」
彼女は 口を尖らした
「 ごめん ごめん!
だからさ~ さっきは アサカ 踊りの練習疲れで ボンヤリしてて
コウジさんの存在に気づかなかっただけだよ
それだけのこと! それより 私たちが ここに来てから もう十分は
経ってるわよ コウジさんを待たせてるんだから はやく帰らないと
あ、お母さん 私たちのプリン 冷蔵庫に戻しといてくれたかな~ 」
「 こんな時に よくプリンのことなんか 気になるわね~
そんな小さなことを気にするいつもは慎重な性格のユウコが
なんで 数日前に知り合ったばかりの男の人 ・・・ コウジさんを
信頼してるのか チョット不思議な感じがするな~ 」
「 え? そうかな ~ 」 そういえば自分も アサカが言ってるような
ことを コウジを信用しすぎている母親に注意したことがあったっけ
今では 自分もコウジに気を許しているように見えているのか・・・
ユウコは 親友の言葉で それに気付かされた ・・・ その時だった
彼女の目線の先にある ロビーの奥のエレベーターの扉が開いた
上の階で集会があったらしく 七、八人の男女が 手に地図の
ようなものと 飲みかけのお茶の入ったペットボトルを持ちながら
中から出てきた・・・
いちばん最後にエレベーターから出てきたのは リョウスケだった
ゆっくりとした足取りの年配の女性を気遣い 開のボタンを ずっと
押していたようだ 「 あ! リョウちゃんだ! 何してんだろ?」
「 え? リョウスケがいるの? やだ! 今見つかったら マズイよ 」
エレベーターに背を向けた席にいるアサカは 振り向きもせず
うつむいて 身体を縮めるような仕草をした
「 ・・・ ん~ 大丈夫! みんなと一緒に 玄関のほうに向かってる
なんか 大人のひとに囲まれて 緊張してるみたいよ
だから 私たちのことなんか 目に入らないんだ~~
・・・ん? アサカ? どうしたの~~?」
アサカは テーブルに両手をつくと 突然 椅子から立ち上がった
「 そうだ!リョウスケだ!」 そう言いながら 彼女は リョウスケたち
が立ち話をしている ポルトの正面玄関口へと 小走りに向かった
「 アサカ!だめだよ もう 店に戻らないと・・・!」
ユウコも アサカの行動を理解できないまま 彼女の後を追った
「 シュミレーションどおりに うまくできるかわかりませんが
自分たちも楽しんで 観光案内人になることにしましょう!
では ご苦労様でした~~ 」
「 お疲れ様でした~ 」「 お疲れさま ~ 」「 天草弁で案内したほうが
親しみやすいかな ~ 」「 でも それだと 都会の人にワカルかい? 」
リーダーと思しき初老の男性が 散会の挨拶をすると メンバーたちは
三々五々 商店街の中に 散らばっていった
どうやら リョウスケは 夏休みにボランティアをするといっていた
街中観光案内に関する会議に 出席していたようだ
「 ナカヤマグチ君 期待してるからな がんばってくれよ じゃあね! 」
「 はいっ! ガンバリマスッ!お疲れ様でしたっ!」
リョウスケは そのリーダー風の男性に 深々とお辞儀をして
玄関から表に出ようとしていた
「 リョウスケく~ん !」 アサカが 声をかけた
「 おっ! なんだよ 二人して ・・・ またポルトで 暇つぶしか ~ 」
振り向いたリョウスケは アサカから声をかけられたのが 少し意外
だといった表情をした アサカは リョウスケの少し乱暴な物言いや
行動を嫌い いつもはなるべく 彼に近寄らないようにしている
無頓着なリョウスケも さすがに 自分が彼女に好感を持たれて
いないことは ウスウス気づいているようだ
その彼女が 珍しく 自分から声をかけてきた!
「 今日も暑いわね ~ これから ユウコんとこで アイスコーヒー
でも飲もうって言ってたとこなのよ リョウスケくんも 一緒にどう?
私 奢っちゃうから ねっ!」
「 ん ~ コレ 飲んじゃったから 今 喉そんなに渇いてないな ~
また 今度 オゴッテくれよ! じゃ~ 俺 忙しいから ・・・ 」
リョウスケは 手に持っていた空のペットボトルを アサカに見せると
その場から立ち去ろうとした
「 プリン! 美味しいプリンもあるから!」
アサカは リョウスケの背中を両手でグイグイ押しながら
進行方向を 無理やり キッチンHIROに向けさせた
「 プリンより どっちかっていうと 蜂楽饅頭のほうが ・・・
ってゆ~か コマツバラ おまえ いつもとなんか違うぞお~~
何か たくらんでんじゃ ・・・ 」
「 べつに 何もたくらんでませんよ~ そんな変な先入観
持たないでよ! ねっ! ユウコ! セ・ン・ニュ・ウ・カ・ン 」
アサカは リョウスケに気付かれないように ユウコに片目を
つぶってみせた ( ・・・ え? 何? 先入観・・・? )
メインロードを抜け キッチンHIROがある路地に入ったとたん
ユウコは 突然 アサカのもくろみが理解できた
( そうか! リョウちゃんは 今から まったく先入観無しに コウジ
さんと会うんだ! もしかすると お店の中に入った瞬間 お母さん
だけしか 見えないってことが ・・・ あるかもしれない?
お母さんから促されて それでやっと コウジさんの存在を認識
する? まさかね ~ そんな バカなことが ・・・ )
「 あ! またコマツバラの父ちゃんと母ちゃん モメテんじゃん?」
路地に入って三軒目の アサカの両親が夫婦だけで経営して
いる小料理屋「青海」の前を通りかかると 準備中の木札の
下がった店内から 夫婦が言い争っているような声がしていた
「 あ ~ また 今日の献立のことで ディスカッションしてんのよ
ママがアドバイスしても パパ 頑固だから ・・・ 」
「 ママ、パパ、ディスカッション ・・・ なんか 商売柄似合わないな
俺なんか ちっちゃい頃からずっと 父ちゃん 母ちゃんだぜ 」
「 私は 中学三年生まで ママって言ってたんだけど さすがに
高校に入ってからは お母さんに変更!
最初は なんだか 照れ臭かったなあ~~ 」
「 そうなのよ ユウコみたいに きちんと切り替えができなかった
から 私 いまだにズルズルと パパ、ママって言ってるのよね ~ 」
そこまで話すと 三人は キッチンHIROの店の前に到着していた
ユウコは 緊張した おそらく アサカも 同じ心境のようだ
「 リョウスケくん お先にどうぞ」 アサカは ペパーミントグリーンの
ドアを開けると笑顔を作って リョウスケが先に店内に入るよう促した
「 なんか やけに 親切だな ~ 」 リョウスケは 首をかしげながらも
店の中へと 歩みだした・・・
リョウスケだけを店の中に入れ 二人は ドアの傍に立ち尽くしていた
半分開いた扉から漏れてくる店内の冷気が アサカのすぐ傍に立って
いるユウコの頬に当たった
二人は 息を呑んで リョウスケの反応をうかがった・・・
「 おばさ~ん こんにちは~ ! ・・・・ 」
*おことわり* これは あくまで フィクション小説です
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