2013年2月3日  0時0分 ~

               『AMAKUSAシーサイド広告社』

          これは それぞれにワケあって 都会から天草にUターンしてきた

          若者たちが力を合わせて 就職難の故郷で起業するために

          奮闘する物語です( フィクションなのに ノンフィクションっぽいッ!)

          彼らとは反対に 天草から都会への進出を夢見る一人の女性も

          彼らと深く関わっていきます・・・ 物語のテーマは 《天草の宝》!!!

          彼らは ふるさと天草の宝を見つけることができるかな?

 

                第十二回 「高みを目指せ!!!」

                                 文と絵&ストーリーテラー☆K(ケイ) 

 織田「 あっ、いや~~ スマン、スマン

みんな まだ試食していないのに 僕の感想を先に

言ってしまって・・・ ちょっとフライングしちゃったな

僕の意見は気にせず 先入観なしに このジャムを

食べた感想を 聞かせて欲しいんだけど・・・ 」

 

ハシバ「 じゃあ とにかく みんなで 試食! 試食!

これ一瓶しかないから スプーンで ちょっとずつ

取り分けましょな

          

キヨミ「 じゃあ いただきま~す ♪

・・・ あらッ! 甘さも控えめで 蜜柑のいい香りも

するし・・・ 私は このジャム 好きですけどね

パンケーキに もっとたっぷり塗って食べてみたいな~

アイスクリームに添えても ぜったい美味しいですよ  

何でオダさんは これを自信を持って売り出せない

って思うんですかねえ~~?」

 

シバタ「 まあな・・・ 蜜柑の味が損なわれない

程度の煮詰め具合にしてあるし 決して悪くは

ないけどな・・・ 初めてのジャム作りにしては

及第点以上の出来だと思うよ~~ でも・・・ 」

 

織田「 でも・・・?  何だい? 」

 

シバタ「 あ、いや・・・ 他の人の感想も

聞いてもらったほうが・・・ 」

  

 織田「 じゃあ ランくんは どうかな?  」

 

蘭「 ええ、ミヤモトさんに 美味しいと

言ったのは ほんとにそう思ったからです

手作りの優しい味がしたので・・・ でも・・・ 」

 

ハシバ「 でも・・・?  ランくんも 最後に《でも》を

付けるんかいな~~   でも なんですのん? 

そこで口ごもらんと 思ったとおり言うてみなはれ  」

 

蘭「 あの~ 一瓶食べ終えて ジャムの

瓶が空になった時 またぜひ食べたいとか

買いに行きたいとか思うかっていえば・・・

それは ちょっと ビミョ~かもしれませんね  」

 

織田「 この新商品のリピーターになるか

どうか わからないということかな? 」

 

蘭「 優しい中にも もう少しインパクトの

ある味がしたらとも思うんですが・・・ いや~

自分が食べたい味を 具体的に説明するのって

難しいですよね 」  

 

ユキコ「 あっ! 私も そう感じましたよ~!

美味しいんだけど 無難な味っていうか・・・ 

普通に美味しいっていうか・・・ 

例えばね ランさんは とても優しそうだけど

男性として なんだか物足りなさを感じたりも

するんですよね~~ 」

 

蘭「 僕 ひとつ年下のユキコさんから

物足りない男って言われちゃいましたよ~~  」

 

ユキコ 「 ウフッ♪   ゴメンなさ~い! 

でね、シバタさんは ワイルドなところが魅力的

ではあるんだけど ずっと一緒にいると ちょっと

コチラのほうが 疲れるかもしれないな~~って・・・

マッタリとお茶したい時のお相手は やっぱり

ランくんのほうがいいかな~~って 」 

 

シバタ「 オレ ずっと年下のユキコちゃんから

疲れる男って言われちゃったよ  」

 

 ユキコ「 エヘッ♪   だから 二人のいいところ

だけを取り出して 上手にブレンドしたら きっと

もっと美味しいジャムになるんじゃないかしら

 

ハシバ「 ランくんとシバタはんを ジャムに

する気ですかいな~~(笑)

なんですのん? その抽象的な表現は~~

ユキコちゃん なんやソムリエみたいやん! 」

 

織田「 いや、僕が言いたいことを 彼女が

代弁している気がするぞ~~

まあちょっと 表現がポエムすぎるけどね(笑) 」

 

シバタ「 実は オレも もう少し味に深みが

欲しいって思ってるんですよ 」

 

キヨミ「 え? じゃあ 私だけが 普通に

美味しいって感じてるの~~?

自分で料理するのは苦手だけど 東京では

職場の友達と 美味しいランチやスイーツを 

よく食べ歩いていたんだけどなあ~~

私の味覚って たいしたことないのかしら? 

 

ハシバ「 そないなこと あらしまへんで~

ワタシだって ほんまに美味しいと思いますしな

なあ オダはん  普通に美味しければ それで

いいですやろ?」  

  

織田「 ええ もちろん 僕も ミヤモトさんが

作ったジャムは 品質も味も 平均点を はるかに

越えているとは思いますよ

ただし今回は 舌の肥えた都会の消費者を相手に

東京のデパートでの新製品のお披露目と販売

ですからね~~   ハッキリ言って このジャムには

もっと改良の余地があると思います 」

 

 ハシバ「 やるからには 高みを目指せという

いうことですかいな~~  

なんや オダさんらしいなあ~ 」 

 

蘭「 僕がジャムを試食した時の反応が

あまりよくなかったのを察して ミヤモトさんの

ほうから この商品がグレードアップするように

アドバイスを依頼されたんです 」

  

キヨミ「 へえ~~ 商品を改良するお手伝い

をするのも 広告代理店の仕事なんですね~ 」

 

織田「 いくら広告宣伝しても 商品そのものの

完成度を上げない限り リピーターを増やすことは

できないからね 」 

 

シバタ 「 じゃあ オダさんは この依頼 正式に

引き受けるつもりですか? 」

 

織田「 もちろん! 海のモノとも山のモノとも

ワカラナイ僕を訪ねてくれたミヤモトさんのために

できるだけ応援したいと思っているよ

農園や加工所に 商品改良のヒントがありそうだ

だから さっそく明日にでも 訪ねてみようと思う  」

  

シバタ「 オダさん 善は急げですよ~~

明日と言わず 今日中にやっちゃいましょうよ!

オレ バイトが休みなんで 今日だったら好都合

なんですけど・・・ 実は 話を聞いているうちに

ちょっと興味が沸いてきちゃって(笑) 

できれば オダさんのお供をしたいんですが 

  

織田「 そうだな~~   プロの料理人で

あるシバタくんの意見も聞いたほうがいいな   

じゃあ 午後から 一緒に行ってみるかい? 」

  

ハシバ「 だったら みんなで みかん山に

ピクニックに行きまへんか~?

お天気もよろしいしなあ~~ 」

 

キヨミ ユキコ「 じゃあ 私たち

オニギリ作りますね~~ ♪  」 

 

織田 「 ダメダメ! そんな遊び半分で

みんなでおしかけたら 相手も 迷惑だよ!

今日のところは シバタくんだけ! 」

 

ハシバキヨミ ユキコ                                         

「 チェ~!」      「 つまんな~い! 」

 

蘭「 オダさん! 僕も連れてって下さい!

僕 ゼッタイ オダさんの役にたつと思いますから! 」

 

え?え? え?
どうした、ランくん!?
ずいぶんと 自分のこと売り込んじゃって~~
何 その自信は~~?
ランくんの得意分野って・・・ 何?
クールなランくん なんだか えらく積極的に
なっちゃったけど~~
いったい どういう心境の変化なの???

 

        『AMAKUSAシーサイド広告社』 

                  第一部(全12回) 完

 

                                    *おことわり*

  地元天草が舞台の物語の性格上 実在の地名 ・施設名などが

  登場しますが これは あくまでフィクションです