「 シバタはんが オードブルの盛り合わせを
作らはったそうでっせ~~
冷蔵庫に 生ビールも冷えてますし・・・ あ、そやそや
ユキコちゃんは ジンジャーエールで辛抱してな~~ 」
「 来年の七月には ハタチになるんで
そしたら堂々と みんなとビールで乾杯できますよ~ ♪
私のバースデーにも 今日みたいなパーティーを
してもらえたら うれしいけどな~~ ♪ 」
( お、おとなしい顔して・・・ けっこう
自分のことは ちゃんと主張するよなあ~~ )
「 あの~~ オダさん・・・
さっき車の中で ちょっとお話した件ですけど・・・
もっといろいろとアドバイスしていただきたいので
近いうちに お時間いただけますか? 」
「 ああ 一階の食堂の空きスペースを
利用して キヨミくんのオリジナルブランドの洋服や
小物を展示したり販売するコーナーを設けたい・・・
っていう話だったね~~
キヨミくんは たしか 東京で 服飾関係の仕事をして
いたんだよな 」
「 ええ、私 小さい頃からファッションに
とても興味があって 天草の中学を卒業したらすぐに
福岡の服飾専門学校で 三年間勉強したんです
その学校を卒業した後 東京のアパレルメーカーで
パタンナーの見習いのようなことをやってました 」
「 キヨミさんって 若いのに キャリアを
積んでいるんですね 尊敬しちゃいます~~ 」
「 ううん、ほんとは 勉強するのが
苦手だったから 普通高校に進学しないで
自分の好きな道を選んじゃっただけなのよ 」
( 自分の好きな道か・・・ 就職に有利だから
とりあえず大学に進学した僕と比べたら ずいぶんと
シッカリしてるよなあ~~
都会で挫折しても また夢を追えるのは 小さい頃から
自分がやってみたいことがあったからだろうな・・・
僕の場合は どうしてもやりたいことって・・・ 何だろう? )
「 ファッション関係には詳しくないので
アドバイスできるかどうかは わからないけど でも
話だったら いつでも聞くからね
あ、そういえば・・・ 昨日 シバタくんも ここの食堂を
個人的に使用していいかって 僕に尋ねてたっけ~
たぶん 近々 みんなにも相談するとは思うけど・・・ 」
「 ええ~~っ!!!
シバタさんも 食堂を使って 何か始めるんですか~!
これって ダブルブッキングになっちゃうのかな? 」
「 ・・・ え!? いったい 何の話ですのん?
ワタシは なんにも聞いとりませんでえ~~
なんや なんや キヨミはんも シバタはんも
オダはんにばっかり 相談しはって・・・
ワタシは みんなの中では最年長でっせ~~
ワタシ そないに頼りになりまへんか~?
なんや 寂しい話やわ~~ 」
「 あ、ハシバさん ゴメンなさい~~
でもこれって 本渡からの帰り道 車の窓から西海岸の
夕陽を眺めていたら ふと 思いついたことなんですよ
当分の間は ネット販売だけにしようと考えていたけど
ここで アンテナショップをやってみたいなあ~って・・・
憧れだったアパレルメーカーに就職できたのに
たった四年で 天草へUターンしてきたのは
実は その~~ 職場でいろいろとあって・・・ Uターン
というより 逃げ帰ってきたって言葉がピッタリ・・・
あ、スイマセン! これからパーティーだっていうのに
こんな暗い話しちゃって・・・ 」
「 いや、せっかく天草に戻ってきたんだし
キヨミくんがほんとうにやりたいことを 故郷でチャレンジ
してみるのは いいことだと思うよ
シバタくんからは まだ具体的な内容は 聞いていない
んだが キヨミくんも 彼と話し合ってみたらどうかな?
二人で 食堂のスペースを シェアし合うのも 面白い
試みじゃないか? 」
「 シェア・・・ そうですよねえ~
だってここ そもそもシェアハウスですもんね~(笑)
シバタさんが やりたいのは きっと お料理関係
のことですよ~~
今 食堂を見てきたら 大皿に盛られたオードブルが
テーブルの上にありました~ とっても美味しそう ♪