特にTVやインターネット上などで、「電力会社には隠し電力がある。」などと盛んにいわれています。

これだけからみると、地域の経済界をリードしている電力会社に対する信用も落ちたものです。

また、「原子力が無くても対応できる」とかいわれることが多くなっていますが、どうなんでしょうか。

 

今回:「きょうの供給力」や「でんき予報」について

次回:最大供給能力」「隠し電力」などについて

    述べてみようと考えています。

 

私自身は電力会社とは、家庭用の電灯を使わせていただいているだけで、その他の関係はありません。

したがって、特別のデータを持っているわけではないだけに、どこまでがどうなのか知りたいという思いで

調べてみました。擁護しなければならないような理由もありません。

     

 

        

ただ、一般の方に比べれば、いくらかは電気の系統運用などについてはわかるところがあるかもしれません。

    

今回も九州電力には何も聞いたりしていませんが、九州電力が発表されている資料だけを使っても、

かなりのことが分かるように思います。

いろんなところで、電力会社は教えてくれない、教えてくれない、情報開示をしないなどと表現されている

ようですが、必ずしもそうでもないように感じました。

    

    

九州電力のホームページでは7月5日から、毎日、でんき予報(電力の使用状況)

いうものを報道しています。

リンクさせていますので、クリックして見ていただくと

「現在の電力使用量」「本日のピーク時供給力」が、書かれており、

本日の「時間ごとの予測値と実績のグラフ」、「現在の使用率」、「本日の予想最大電力」などが

あります。

 

九州電力の当該のホームページの下部注記に

「本日のピーク時供給力」は、電力需給状況により変動する場合がありますとあります。

 

 

この「本日のピーク時供給力」について、多くの方が以下のような疑問を持っておられます。

その1.この値が、日によって変わるのがおかしい。

その2.この値を「九州電力の最大発電許容能力(設備容量の合計値)」と勘違いをされて、

     おかしい。

    

    

    

     

 

 などといわれているようです。

     

    
「本日のピーク時供給力」というのはどのようにして算出されるのだろうか?

九州電力では、大口の需要家から年ごとに毎月の日毎、時刻毎の需要電力を提出して

もらっています。

     

大きな需要変更がある場合は、需要家から事前に連絡があるようになっています。

 

  したがって、これらと毎年の一般需要家などを含めた実績や天気予報などを参考にして、

日々の時刻ごとの需要予測などを作成することができるようになっています。

この需要予測によって、ピーク時の需要電力も予測できます。

 

これをもとに、ピーク時においてなど、

いずれかの発電機において事故が発生した場合に、瞬時に対応できるだけの供給力を確保しておかなければなりませんし、

送電系統の潮流も異常にならないようにしなければいけません。

また系統異常などの場合にも停電をできるだけなくすようにしなければなりません。

 

さらに、トータルコストを最小にするようにしなければなりません。

 

事故は必ずしも一つだけとは限らないでしょう。例えば大きな発電所が停止した場合は、

差し当たりは、当面の供給力で対応することになると思いますが、予備率が下がりますから

待機中の発電所を起動する必要が発生します。

立ち上げる発電所についても緊急性、経済性などを考慮して立ち上げることが必要でしょう。

 

どこかの発電所に万一事故が発生し、止まった場合でも

 「供給力」>「全需要」 なるように運用しなければなりません。

        

どの電力会社も同じですが、中央給電指令所というところから、

当日の時刻毎の予測値をもとに、

最も経済的で、事故時にも対応しやすく、潮流なども考慮し、

最適な各発電所毎の負荷配分を指示します。

 

     

したがって、全部の発電所を常に起動しているのではなく、数日間の負荷予測などによって、

起動・停止や負荷変動などを指示しているということです。

これによって「本日のピーク時供給力」というのは変わるということです。

「供給力」を「全需要」が超えた場合はどうなるのかといった疑問が出されています。

     

 

       

九州電力では、周波数、電圧を一定にするよう制御しています。

供給力を需要が超えると運転中の発電機群の回転数は低下します。

ここですぐに強制的にでも「負荷遮断」をしなければ、電圧も低下して、

発電機端の電圧は特性から急速に低下して停止してしまわざるを得なくなります。

ブラックアウトです。全停電です。

停電範囲を少なくするためには、強制的な負荷遮断を行わざるを得ないでしょう。

 

 

このようなことには、絶対にしないようにするには、適正な「予備力」「予備率」を確保しておく

ということは、とても大事なことです。

年間でのピーク時需要電力に対して、全供給力で8~10%の予備率がほしいというのは、

このような理屈にほぼなっているのだと考えます。 

 

 

        

 

九州電力の場合、発表されている数値は、「発電端電力」だそうです。

「送電端電力」=(「発電端電力」ー「発電所所内使用電力」)のことです。

電力会社によっては「送電端電力」で表示しているようですの注意が必要です。

    
2011年07月19日更新