「最大供給電力」と「隠し電力」・「埋蔵電力」について(1/2)
★九州電力の最大供給電力について | 最大供給電力を出す前に、各発電所ごとの発電端出力(設備能力)を調べます。 | 単位:万KW | 発電所名 | 燃料 | 発電端出力 | 備考 | 新小倉 | LNG | 180 | 60×3 | 苅田 | 重油・原油・石炭 | 73.5 | | 豊前 | 重油・原油 | 100 | 50×2 | 唐津 | 重油・原油 | 87.5 | 37.5+50 | 松浦 | 石炭 | 70 | | 新大分 | LNG | 229.5 | 複合発電 | 大分 | 重油 | 50 | | 相浦 | 重油・原油 | 87.5 | 37.5×50 | 苓北 | 石炭 | 140 | 70×2 | 川内 | 重油 | 100 | 50×2 | 火力合計 | | 1118万KW | | 地熱 | | 21万KW | | 内燃力発電所 | | 38.627万KW | 34箇所合計 |
| (単位:万KW) | 原子力発電所名 | 炉型 | 発電端出力 | 運転中/定検 | 玄海原子力 1号 | 加圧水型 | 55.9 | 運転 | 2号 | 加圧水型 | 55.9 | 定期検査 × | 3号 | 加圧水型 | 118 | 定期検査 × | 4号 | 加圧水型 | 118 | 運転 | 川内原子力 1号 | 加圧水型 | 89 | 定期検査 × | 2号 | 加圧水型 | 89 | 運転 | 原子力運転中合計 | | 262.9万KW | |
| (万KW) | 主な水力発電所名 | 型式 | 発電端出力 | 備考 | 天山 | 揚水式 | 60 | | 大平 | 揚水式 | 50 | | 小丸川 | 揚水式 | 30×2 | | その他 135箇所 | | 128 | | 水力合計 | | 298万KW | |
| 上記の数値で、小丸川の水力が、7月から30万KW増えています。 | | (万KW) 発電所名 | 使用燃料 | 発電端総出力 | 備考 | 戸畑共同火力 | LNG、副正ガス、重油 | 78.1 | | 大分共同 | 副正ガス、重油 | 51 | | 合計 | | 129.1万KW | |
以上が設備容量です。経産省認可の最大出力でもあります。 この値の合計値は、九州電力全体としての最大供給能力ではありません。 この合計値を最大供給能力と勘違いされてインターネットやTVなどでコメントをされている 大学の先生や所謂専門家と称されている方々がいらっしゃるようですが、そのような運転を 継続することは以下の理由により不可能です。 |
「全汽力発電所」を完全にフルロード(認可最大出力)で長期に継続運転をすることは、 ほとんどできないでしょう。 まず、1年間連続運転をしていると空気予熱器などに汚れが付着してきたりして閉塞したりし、 性能が落ちてくる箇所などがあります。その場合は負荷を下げて運転をせざるを得ません。 燃焼系や制御系なども完全に線を引いたように一定ではありません。 また、需要が変化した場合、いくらかの負荷変化をも吸収させる必要もあります。 場合によっては、どこかで事故が発生した場合複数の発電所でバックアップもしなければ ならないでしょう。そのようなことで、 最大認可出力一定で運転するのではなく、余裕を持たせて運転することが必要でしょう。 火力を可能なだけ、フルロード近くでで運転するのは、他の発電所で何か事故などがあった ような場合、需給バランスをとるために、つまり停電などの危険を乗り切るために 数台の汽力発電所を限られた時間フルロードで運転するとかはあるでしょう。 安定して電力を供給するためには、火力発電所については常時、認可最大出力で運転を 続けるということはないと考えます。 |
汽力発電所については、ランニングコストが安い石炭とその次に安いLNGはピーク時間帯は できるだけ高負荷で運転することにし、一定負荷92%くらいで考えることにしてみます。 重油・原油はランニングコストも高くなりますので、大幅な負荷調整用に使いますが、 負荷変動を吸収させるために、ピーク時間帯は合計の88%くらいで運転することで考えます。 負荷調整の過程であれば、50万KW強程度の余力は隠している訳ではありませんが、 持っていると考えてもいいかと思います。 平常時のピーク時間帯に、上記の割合で継続して運転するのは、やや厳しいかもしれません。 |
| | 運転の仕方としては、 原子力発電所は、負荷が変わってもランニングコストは変わりませんから、最大値で ベースロードとして運転を行います。原子力は定格熱出力一定運転という原子炉の 熱出力を定格値一定で運転することが一般的になってきていますので、フル運転をしています。 熱出力を一定にして運転するとほぼ最大出力で運転でき、冬場の海水温度が低いときは 許される範囲内で、定格値を超えて運転することも可能です。 |
| 九州電力の「燃料別発電電力量の推移」には、汽力の中に他社分を含めて書かれていますし、 九州電力にて作成された下図においては、供給力1728万KWの中に、「他社受電」が 明確に入っています。 「他社受電」は、年間平均では180万KW程度になっています。ここでは210万KWとしておきます。
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| 九州電力報道による供給能力 : 1728万KW (玄海2,3号機停止、川内1号機停止中) 本年度の夏の最大電力需要予測値 : 1669万KW この場合の予備率は 3.4% です。 (去年並みの高温になると去年の最大電力需要:1698万KW) |
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2011年07月20日更新