かつて小生がまだ中学生だった頃に父が乗っていたのがCitroen GSというフランス車。1.2Lの空冷4気筒エンジンを搭載というとフツーに廉価なコンパクトカーを連想しますが、こいつは特殊なクルマで足回りはハイドロニューマチック式というActiveサスペンションでした。エンジンはスバルみたいな水平対向4気筒(縦置)で前輪駆動です。父のインプレでは抜群の高速安定性と良好なコーナーリング性能を有していたとのこと。ハイドロニューマチックサスは旋回時の姿勢変化が少なく、しかもバンパーを指で押しただけでふわりとクッションするくらいショック吸収性にも優れていたのです。これ造られたの70年代ですからね。日本でも90年代になると三代目ソアラの最上級モデル(700万円超!)に同様の油圧Activeサスのモデルが登場しますが、当時のCitroenの凄いところは庶民的なコンパクトカーにそんなハイテクを搭載していたことです。柔らかく包み込むような感触のシートの快適性も相まって長旅にはもってこいのクルマでした。また悪路走破時には任意に車高を上げて通過することも可能という万能ぶり。以下のYouTube動画を見るとタダモノでないことがわかります。

http://www.youtube.com/watch?v=pRFrSu3R8Ek&feature=related

 

そして現代のコンパクトCitroenは...

C3

さて今回試乗したC3。現代のシトロエンです。メカニズムに関してはオーソドックスなものに落ち着いてますが、そのデザイン・センスは国産車を見慣れた目には斬新。ドライバーの頭上まで延びたフロントガラスは最大の特徴で、特に季節が劇的に変化する日本の風土にうってつけ。オープンカーよりも前上方視界が広く桜のアーチも紅葉も、そして抜けるような青空も車内から3D的に楽しめます。インストルメント・パネルの意匠も凝ったものですし車体外板の造形も優雅で見飽きません。これだと毎日磨きたくなります。詳しくはシトロエン・オフィシャル・サイトを。

エンジンは1.6L-4気筒で4ATを介して1.2t級の車体を駆動、動力に過不足なく静粛性も及第点。乗り心地はドイツ車のがっちり感に対して「しなやか」という表現がぴったりかと思います。シートの造形やホールド感、ドライバー周辺の空間デザインなど乗員を優しく包み込む感じはフランス車独特のものを継承してますね。特別に凄いところとか無いんですが乗っててなんだか楽しいんです。バカンスの国のクルマだからでしょうか、昨年我が家を訪ねてくれたパリ生まれのP君との遊び心に溢れた会話を思い出しました。

 

真面目に生きるだけが人生じゃありませんよって教えてくれるクルマはMINIFIAT500など色々ありますが、Citroen C3はフランス流の御洒落感覚でそれを表現しています。試乗車は”Exclusive”で¥2,390,000ですが廉価版の”Seduction”なら¥2,090,000です。ヨーロッパでの試乗記は河村康彦氏のレポートがネット上にありますよ。

 

因みに今回はCitroen福岡さんのご協力でした。有難うございます。

 

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2012年11月09日更新