BMW320ex

早いものでBMWというブランドとのつきあいが20年近くになろうとしている。E30以降の各世代の3シリーズをはじめ2002ALPINAなどかなり多くのモデルを試乗させてもらった。現在の日本にも導入される最新の3が今回の320iシリーズであるが、これまでの慣例と違い328320もパワー・ユニットは同じ2リッター・ターボ・エンジンを搭載する。それも4気筒なので従来の3シリーズ・ファンには「?」をもって迎えられたかと思う。出力は328の方が60ps余り勝る。スペックを見ると328の方が圧縮比が低いから最大ブースト値が高いのか?ネットで調べてみたが未だそのデータが見つからない。いずれにせよこれまでのBMWのラインナップ習慣からすれば異質な展開だ。

 

そうした違和感をどう払拭するかも新型のテーマだろうからさっそくその点についてだが、かつてE30-M3を走らせた経験のあるドライバーなら4気筒もまたアリとの認識だと察する。試乗に供せられた320i-Sportの始動直後から粛々と回るエンジンには往年の直6から乗り替えたドライバーに違和感を覚えさせる要素は多くない。Driving Performance Controllと称されるデバイスが付いており走行モードを任意にECO PROSPORTにと切り替え可能で、モードに合わせてエンジンのレスポンスやステアリングのアシスト量、そしてシフト・タイミングが変わる。SPORTにすると、それまでフツーの日本車みたく大人しく静かに走っていた新型320i-Sportが従来のBMWファンに「これ、これだよ!」と笑みを浮かべさせる走りに切り替わる。184psを非力には感じない。このモードで峠を走り回った後はCOMFORTに戻して帰路は奥方に運転を任せるといった用途もアリだろう。

 

今回の市街地試乗ではターボラグについて明確に評価する状況にはなかったが320iを称する新モデルとしてエンジンは及第点であろうと思う。ハンドリングを含めたシャシ全般は更なる車体剛性と快適な乗り心地を達成してある印象。BMW本来の4輪全てに意識を通じさせてコントロールする走りがまた新たな次元へと正常進化していると評価したい。是非皆さんも味わって欲しい。

 

タイトな交差点ではステア・フィールに若干の違和感があったがこれについてはもっと色んな状況下で走らせてみないと明言出来ないし、こうした点もマイナー・チェンジ等で更に改良されていくだろうから機会があれば長期テストなんか仰せつかりたいものだ(笑)。現時点においてまずは新エンジン展開の成功を祈りたい。

 

あー、そうだ。新型の顔つきにこそ違和感を覚えている従来のファン諸兄はいち早く実物を見にいくべき。立体感のある造形はこれまで以上にファッショナブルにBMWらしさを演出してある。これは写真など二次元の画像情報では伝わりませんね。

 

試乗車提供:BMW熊本インター店

 

2012年07月11日更新