昼の部の華麗な「連獅子」に続いて、4番目の演目、河竹黙阿弥作の「加賀鳶・かがとび」の松本幸四郎さんが良かったと思います。悪事の数々を働く盲目の按摩、竹垣道玄を演じましたが、近くで観て表情の豊かさ、指の先までしなやかな身振り、等良く分かりました。最後は、本郷の加賀藩前田家の屋敷の表門で捕らえられるのですが、その門が現存する、今の東京大学の正門、赤門として遺されています。夜の部の「口上」は煌びやかに居並ぶ歌舞伎界の重鎮、諸先輩に囲まれて、八代目中村芝翫・四代目橋之助・三代目福之助・四代目歌之助、の口上があり、目の前の芝翫のお顔の綺麗なこと、場内を見渡す目が光っています。長い台詞を憶え、伝統芸を承服し、新しきを築き、並々ならぬ努力の積み重ねであろうと推測されますが、体に気を付けて大きな名跡を守り、日本の歌舞伎の新しい時代を切り開いて貰いたい、と期待しています。

2016年11月05日更新