今年も「お十夜」の季節になりました。正行寺の広い境内に参詣の善男善女が三々五々集まり、お花を抱えてお墓への階段を昇っていく人、携えたお線香の白い煙が秋の空に消えて行きます。欄干の下に絵手紙のパネルが五枚立て掛けられて皆さんが立ち止まって見てくれます。約一時間の法話の後、法要が始まるまでの時間に「お十夜和讃」をきいて頂きます。「帰命頂来 阿弥陀仏 摂取のみ光 あまねきて 不捨の救いを もろ人に 垂れて誓いを 遂げ給う  十日十夜の念仏を 積めば浄土の千日に まさる功徳と諭されし 仏の教え 有難や  秋たけなわの 山門に 響く鐘の音いや高く 仏を讃とう 声すなり 南無阿弥陀仏 阿弥陀仏」  お唱えする和讃の声が本堂一杯に広がります。

私は、小学生の時、北茨城市の伯母の家に疎開し、お寺の娘の園ちゃんと仲良しになり、お寺の本堂で何時も遊んでいました。広々とした本堂で金ぴかのご本尊様を仰ぎ見ながら駆け回ったあの頃、何となくヒンヤリとしたお寺の雰囲気が今でも好きです。大正大学の教授の林田先生の法話も有意義で楽しく拝聴し、何もかも有難い一日でした。こうして、今年も静かに更けていきます。恒例のおでんと茶飯のお握り、ご馳走様でした。

 

正行寺「お十夜法要」

 

2015年11月11日更新