9月の歌舞伎座は、「松竹創業百二十周年・秀山祭9月大歌舞伎」です。秀山祭というのは、先代の(初代)中村吉右衛門さん(播磨屋)の生誕百二十年を記念し、その功績を顕彰し芸を継承することを目的に、初代の俳号より「秀山祭」と称して上演され、十年目を迎えました。二代目を継いでいられる吉右衛門さんの先日のテレビの「佐和子の部屋」でのお話です。吉右衛門さんのお父さんは松本白鸚さん(高麗屋)、その奥様正子さんは初代吉右衛門さんの一人娘で、白鸚さんとの間に二人の男の子を産んで、高麗屋と播磨屋の跡継ぎにする、と言い実際にそのようになり松本幸四郎さんと今の吉右衛門さんが立派に両家の跡目を継いでいます。吉右衛門は娘さんばかりで跡継ぎはいませんでしたが、四女の瓔子さんが尾上菊之助さん(音羽屋)と結婚して長男と長女を設けられましたから、二人目の男の子が生まれたら実家の高麗屋の跡を継ぐようになるのかも知れませんし、実際そうなって欲しいです。昼と夜、両方に観たい演目がありましたので終日歌舞伎座にいました。夜の部の「通し狂言伽羅先代萩・めいぼくせんだいはぎ」の坂東玉三郎扮する、乳人政岡が抜群に綺麗です。350年前奥州伊達正宗を藩祖とする仙台伊達家の御家騒動を題材に場所と時代を変えての上演です。幼い藩主鶴千代への忠義からわが子千松を身代わりにする母の胸の奥の思いが伝わってきて、泣けてきます。因みに、外題にある「伽羅」は香木キャラで、高価なその香木で作られた下駄を履いて綱宗が廓に通った、という巷説を用いたものだそうです。玉三郎さんの他には、菊之助さん、中村東蔵さん、中村歌六さんの演技が上手でした。帰りの高速3号渋谷線は二か所の補修工事のため、渋滞して何時もの倍の時間がかかって10時過ぎに帰宅しました。良かったです。

9月の歌舞伎座
2015年09月06日更新