天草の庭にヒマラヤ桜草が満開になりました。私にとってとても思い出深い花です。

終戦直後、母は、上野駅から歩いて五分、浅草通りに面した上野警察署の前の路地裏に家を買って、疎開先から私達を東京に迎えました。当時のバラックの家からしばらくたって家を建て直し私たち姉妹はその家から嫁ぎました。

狭い路地のことですから、母は鉢植えの花や小さな木を家の前に置いて手入れをしていましたが、その中にヒマラヤ桜草がありました。時期になるとピンクの色濃くきれいな花が咲いて、母がとても大事にしていました。名前も母が教えてくれたのを覚えていました。花と母の面影が重なって見えて私にとって懐かしく貴重なひと時です。調べてみると、プリムラロゼアとも言い3月から5月に小さい濃い花をつけます。私たちが育った上野の家は、今では、高速道路が走り、上野駅前の再開発で取り払われて駐車場になっています。上野や浅草へのお墓参りの折には、懐かしくゆっくりと車を走らせますが、天草の庭はとても気に入っていて飽きずに眺めています。今日も、母を偲んでいます。

 

ヒマラヤ桜草

 

 

2015年03月18日更新