五月の歌舞伎座は去年2月に亡くなった十二世市川団十郎丈の一年祭として、新しい歌舞伎座では初めての「團菊祭」です。昼の部と夜の部の通しで観劇し、堪能しました。昼の部の「歌舞伎十八番の内・勧進帳」の市川海老蔵はお目当ての役者さんですが、やはり、お父さんの団十郎の弁慶の迫力には及ばず花道引っ込みの(飛び六方)にも、団十郎の偉大さを偲びました。「魚屋宗五郎」の尾上菊五郎がとても良かったです。昼の部と夜の部の入れ替わりは、通しで見るお客には外へ出なくても2階で待っていられるロビーがありますので、そこで準備が出来るのを待ちます。夜の部、海老蔵の「幡随院長兵衛」が端正な男伊達で、檜の香りが匂って来るような湯殿仕立ての舞台も素晴らしく、ここで菊五郎演じる水野十郎左衛門の繰り出す槍に貫かれ、長兵衛は非業の最期を遂げるのです。

最後は、菊之助の「春興鏡獅子」です。菊之助扮する小姓の弥生が大奥の新年の「お鏡曳き」で将軍の前で披露する踊りを舞ううちに、置かれた獅子頭に魂が宿り、一度花道を引っ込んだ後で再び獅子の精となって登場し、牡丹の花に戯れる胡蝶のと共に、毛ぶりも見事に、華麗かつ勇壮な獅子の狂いを見せてくれました。菊之助も去年男の子が誕生し、奥さんもロビーでご贔屓に御挨拶をしてました。

 

十一世市川団十郎丈

 

2014年05月05日更新