2月10日、作家の石牟礼道子さんが亡くなりました、90歳でした。
天草で生まれた石牟礼さんは、真っ青な美しい不知火の海に起こった水俣病患者の悲惨な現状を告発し「苦海浄土・くがいじょうど」を著し、世に訴え続けました。
石牟礼道子さんが遺された新作能「沖宮」が今秋上演されます。「沖宮・おきのみや」は島原の乱(1637~38)が終わった後の天草が舞台です。天草四郎の乳きょうだいの少女あやは、干ばつに苦しむ村のため、龍神のいけにえに選ばれます。緋色の衣をまとい、海の底へと沈んでいったあやの魂を迎えに、四郎の霊が現れ、やがて村に恵みの雨が降り始める。という物語です。(あやは死ぬのではなくて、海底にある生命の源に還ってゆくのです。人間が自滅に向かうようにも思える時代に、再生の祈りを込めて書きました)と生前お話していたそうです。能衣装を紬織りの人間国宝、志村ふくみさん(93歳、京都在住)に依頼しました。志村ふくみさんは、体調を崩しながらも、あやの衣装をベニバナで、四郎の衣装の天青色をクサギの実で染めようと構想を練っています。今年10月、11月に京都、東京の能楽堂で上演、地元熊本でも上演する為に、熊本市で実行委員会が結成されるそうです。石牟礼道子さんの新作能の上演は、水俣病で犠牲になった生命と鎮魂と再生への思いを込めた「不知火」に続き二作目となるそうです。是非、観たいと思っています。
2018年02月15日更新