4月28日(日)、天草市有明町にあるサンタマリア館の企画展を見学に行きました。
サンタマリア館。平成24年8月に、道の駅有明・リップルランドの近傍に
リニューアルされました。有明海と島原半島(雲仙)をバックに、白い教会堂
風の外観が映えて美しいです。
サンタマリア館は、天草市にある資料館で、唯一私立の資料館です。現館長・浜崎献作氏の実父であり先代館長である浜崎栄三氏(故人)が収集した、天草の潜伏キリシタン資料を常設展示されています。
で、企画展の内容は、といいますと・・・
「伝統の天草・水の平焼展-多種多様な器たち-」というタイトルです。
そうです、陶磁器(焼き物)の展覧会なんです!
企画展開催案内の看板。
水の平焼のことをご存知でない方がいらっしゃるかと思いますので、簡単に説明しますと、
・天草の陶磁器
・享和年間(1801~1803)に開窯、途切れることなく現代まで続いている天草で唯一の窯元
・5代目源四郎が開発したと言われる、「海鼠釉」が最大の特徴
海鼠釉(水の平焼 赤海鼠茶器)
と、ざっとした解説ですが、以上のような特徴が代表的なところです。
天草陶磁器と言えば、磁器原料である陶石の、良質かつ国内最大の原産地である天草ならではの
高浜焼という白磁・染付を主体とした磁器が代表的であり、ご存知の方も多いかと思います。
(ちなみに、高浜焼は明治32年に廃窯し、昭和になって再興されています。)
で、前振りが長くなりましたが、展覧会の様子を写真を交えてお話しします。
※ここに掲載した写真は、浜崎館長さんに、公的機関としてPRを条件に特別に撮影許可をいただいたものです!!
本展覧会の見どころは、何といっても、(おそらく初めて)開催された「水の平焼展」ということ。
展示された数量と器種のバリエーションの豊富さに、驚かされます。
展示風景の一部。様々な「水の平焼」。
最も驚いたのは、「海鼠釉」として現在高名な水の平焼ですが、代名詞である「海鼠釉」以外にもいろんな焼き物をつくっていたということ。
まあ、現当主が7代目岡部信行氏(※ご子息が8代目として製作されています)で、海鼠釉の開発が5代目岡部源四郎氏ということですので、現実的に考えて「海鼠釉」以外の焼き物があって当然ではあるのですが・・・
やはり、そこは「海鼠釉」のインパクトでしょうか。
以下、個人的に目を惹かれた、いろんな作品をご紹介。

コバルト色が美しい、壺 梅の木の象嵌が印象的な、壺
釉流れが見事! 緑釉と象嵌による大型の鉢

薩摩平佐焼かと見間違うほどの、 雲丹壺たち。明治~昭和30ないし40年代
赤絵錦手の茶器セット! まで大量生産されたそうです。
何となく、愛らしさを感じます(笑)
三彩釉花瓶 金花釉花生
これだけでも、一見しただけでは「これ、ホントに水の平焼!?」と思ってしまうほどの作品群です。
他にも、練物(造形物と呼んでいいのか?)も素晴らしいものがたくさん展示してあり、大注目です!!

鮑貝と蟹を模した、水盤。実際に見ると、 蟹の拡大。ホントにリアル(笑)
写実性と造形の細かさ、芸術性にビックリです!

赤海鼠釉の珠獅子。表情もリアルで、躍動的。 鯛を模した変わり皿。目玉の白いところが、
お頭付き塩焼きのようで面白いです。
写真を掲載したもの以外にも、目を惹く陶磁器たちがたくさん展示されています。
基本的に、日常用器(皿や鉢などのセット)が中心です。その多種多様な器たち、
一見すると”遊び心”のようにも見えますが、日常用器の中にも造形の面白さと
美を追求しているかのようなところに、「水の平焼」の素晴らしさを感じました。
長々と書きましたが、私自身が陶磁器にあまり詳しくないものですから、下手糞な説明と言いますか稚拙な表現に終始してしまい、「水の平焼」とこの企画展の素晴らしさを伝えきれないことを恥ずかしく感じます。
もっと、もっと学ばなければ!!!
とにかく、たくさんの方々にこの企画展を見ていただきたい。「水の平焼」を見てもらいたい。
そう願ってやみません。
最後に、企画展開催データを記して、終わります。
名 称:開館1周年記念企画展
「伝統の天草・水の平焼展-多種多様な器たち-」
会 期:平成25年4月28日(日)から9月27日(金)
場 所:サンタマリア館
熊本県天草市有明町上津浦1940-1
TEL 0969-45-8110 FAX 0969-45-8112
開館時間:9時~18時まで
休 館 日:なし
観覧料金:一般500円 中高生300円 小学生100円
※団体20名以上は1割引き
企画展チラシ ダウンロード→ 水の平焼展 チラシ