参考になればと思いまして、書き込みさせて頂きます。以下は当会ホームページからの抜粋です。
「むずかしい年頃とどう関わるか」
~こんな家庭からは問題は起きない~
1、思春期の特徴について
(1)急激な身体的成長をとげつつある(二次成長)
身体的な成長に比べて、精神的・心理的な成長のスピ-ドはかなり遅く、身体と心の間にギャップが生じやすい時期です。このため種々の情緒的な不安定を起こしがちです。体格は大きくなっても、時として、親にベタッとよりかかってくることがあります。
(2)自我に強く目覚める時期(反抗期)
◆3歳児
自分以外の人間の存在を認識し、その中で主張します。
◆思春期
自分は一体何者なのか、何を必要とし、何を求めるべきなのか、また、何のために生きるのかなどを模索し、自分なりの価値基準を探し求める時期です。そして、奇抜な服装・言動が見られることも、自分を発見しようとする表れ(こだわり)であり、表面的なものではなく、内面的・心理的に葛藤があるためです。このことは、自己主張が強くなっていく中で、自分を認めて欲しい、自分の存在意義を感じたいということと表裏一体の関係にあります。
(3)独立性・自主性の獲得を夢見る
子どもではないが大人とも到底いえない時期で、親ないし大人への強い依存・甘えの気持ちが強がりとして現れます。また、悩んでいながら親にも頼れないという気持ちから仲間意識が強くなります。仲間への親近感・仲間意識が心の支えとなり、友人が親・兄・姉の代役となるのです。
親に対しては、親との時代のギャップ・価値観の違いが時代遅れに感じられ、親の言葉を干渉ととらえ、避けるようになります。また、部屋に閉じこもりがちになり、自分だけの時間、長電話等友達との時間にふけるようになります。
(4)将来への方針を具体的に確立しようと懸命
決断を迫られる時期ですが、過去の経験がないこともあって、見通しが立たない時期です。将来への不安、何をしたらよいのか、何になったらよいのか自問するようになり、親の経験を聞きたがることもあります。親も真剣に話してあげることが大切です。
(5)性衝動が非常に強くなる
2、薬物(シンナ-)について
中学生になると学区がひろがり、子どもたちの行動範囲・交際範囲などが広がって問題行動も出てきますが、中でもシンナ-等の経験者が急増してきます。
◆第1段階:気分変化を憶える段階
友達から勧められて、依存性薬物を試してみたり、集団で乱用したりします。初めは、友達に勧められ面白半分ないしこわがわ始めます。方法はみようみまねです。副作用が多く不快感や異常感覚もありますが、爽快感も味わいます。この段階の変化に家族はほとんど気づいていません。
◆第2段階:気分変化を求める段階
週末などに薬物乱用をします。主に集団で使用しますが、時に単独使用もあります。また、授業をさぼるなどの問題が起きてきて、服装、身なりに変化が現れます。この段階は、まだ面白半分とはいえ、酩酊が面白くなって、回を重ねるようになり、自分からも求めるようになります。そして、吸入量が増加し、精神症状が出現します。
◆第3段階:気分変化に夢中になっている段階
頻回に単独で薬物乱用をし、家族とのいさかいが起きてきます。盗み(シンナ-欲しさ、シンナ-による問題行動)などで、警察沙汰になったり、学校を退学したり、仕事をやめるようなことになります。この段階は、陶酔すること自体が目的となり、現実の様々なことから逃れようとします。シンナ-の入手は自分で行っています。
◆第4段階:薬物が切れると正常と感じられない段階
連日あるいは一日中薬物を乱用し、薬物にすっかり支配され、自分ではどうにもならない段階です。この段階は、慢性の中毒状態で、身体的疲労、体重減少や、記憶障害、フラッシュバック等の精神症状も起きてきます。
◆薬物依存
気分は1日中ハイな気分と、薬が切れたときのブル-な気分の間をジェットコ-スタ-のよう行ったり来たり、心は1日中走らされてクタクタ、普通の気分がどんな状態だったのか分からなくなります。結局薬を使って普通の気分にならざるをえないのです。脳は快感をしっかり記憶に刻み込んでいます。シンナ-を吸うということは、だれでもこの依存症に陥ってしまう危険があるのです。
3、アンケ-ト調査からみた家族関係
シンナ-経験群と非経験群とでは次の項目で明らかな有為差がありました。
・週に一人で夕食をとる
・家庭でゆっくり過ごせる時間がない
・家庭で話をすることがない
以上のことに思い当たる家庭は要注意です。
4、子ども達の実態
上記アンケ-トの項目で分かることは、子ども達は淋しさを感じていて、家庭にいながら孤立していることです。このことを1:0.5の関係といい、ファミコン、人形、薬物等に走りがちです。また、これは特殊な家庭ではなく、どの家庭でも思い当たることがあるはずです。つまり、シンナ-吸飲は、どの家庭でも起こり得る問題なのです。
5、親の態度
話していると親は思っていても、一方通行のような会話、上から下への会話では、子どもが話す気になりません。子どもにとっては、直ぐ怒る、分かってもらえない、という理由で話す気にならないのです。
・親の話し方が、あまりにも説得や説教が多すぎる
・繰り返されると、話しても無駄と考えるようになる
・対話と説得の違い。今の会話は、命令や説明、弁解や結論が大部分
・親はすぐに結論を出したがる。すぐ答えなければならないと考えがち
・子どもはまず自分の立場を理解して欲しい。認めて欲しいと思っている
子どもの教育、学力、進学については強い関心を示すが、子どもそのものの内面を見ていない親が増えています。いい子だからと、子どもの表面だけを見て安心してはいけません。反抗期がなかった、手がかからなかった子が、大きくなって問題行動が出てくることもあります。
◆子どもの自己評価が低くなる原因について
・親自身の価値基準がとても高く1番でなければダメという考えを持っている場合
・兄弟によくできた子がいて、絶えず比較され、次第にやる気をなくす場合
・子ども自身が好きでやりたいのに、親が価値なしと決めつけてしまう場合
・元々病弱であった等から周囲が過保護に扱い、いつまでも一人前扱いしない場合
6、親が今実行できること
子どもとの時間・会話を多く持って、子どもの生活実態を見渡し、小さな変化に気づけるよう意識的に努力してください。スキンシップも大切です。また、~まかせを考え直し、夕食時にでも社会規範を教えるようにしてください。
◆たとえ、子どもがシンナ-を吸ったことがあっても、早期に見つけ対処することが重要です。そのためにも子どもが出すサイン、小さな変化に気づいて欲しいと思います。また、アンケ-ト調査の中で、シンナ-など問題行動があったとき、家庭で解決するが大半でしたが、大変むずかしい問題ですので、家庭で抱え込まず、保健所に相談して頂きたいと思います。 (福岡県薬剤師会)