松本龍復興相が、宮城県庁を訪問した際に村井嘉浩知事が出迎えなかったことに腹を立て、恫喝、叱責した。

 「(村井知事が)先にいるのが筋だよな」「(水産特区)は県でコンセンサス得ろよ。そうしないと我々何もしないぞ。ちゃんとやれ」「いまあとから入ってきたけど、お客さんが来るときは、自分が入ってきてからお客さんを呼べ。いいか? 長幼の序がわかっている自衛隊ならやるぞ。わかった? しっかりやれよ。今の最後の言葉はオフレコです。いいですか? 皆さん。絶対書いたらその社は終わりだから」

このことの問題点はいくつもある。
  1. 国と地方の上下関係?
  2. みんなでやれば安全か?
  3. 管首相の任命責任?

1. 上下関係の話。
 佐賀県の古川知事は、再稼働容認の条件の一つとして、「安全性の確保」をあげていたが、海江田経済産業相の「危ないところは政治が止める、安全なところは政治が動かす」という言葉を信じて、玄海原発については安全と見なすと述べている。 危険な浜岡原発は止めるが、止めない玄海原発は安全だというわけである。まさに「御上」の言われる言葉は「正」であり、上下関係があることを物語っている。玄海原発は建造から40年弱が経過し老朽化しており、緊急冷却装置が働いただけで圧力容器が壊れるという説(脆性破壊で爆発が起きれば九州はおろか大阪あたりまで避難地域になりますが、九電は安全だと言っています)もあるが、国が安全と言えば安全なのである。地元も「今さえ良ければ」、「金さえ入れば」、「自分さえ良ければ」いいので、上下関係があって、国に媚び諂う方がよいのである。

2. 報道管制の話。
 マスコミの報道規制をたった一言の「オフレコ」で済ませるのは、日常茶飯事なのか? このオフレコ発言をものともせず報道したのは、東北放送のみ。その映像が、YOU TUBEで流れて、ネット上で反松本の気運が高まってきたと見るや、丸一日経ってNHKを初めとした報道各社は一斉に報道を初め、さらに何度も繰り返し映像を流すという始末。一社だけだと国から「糾弾」されるが、みんなでやると安全だからである。日本をだめにしているのは、政治より今のマスコミではないだろうか?

3. 管首相の今後。
 管首相が今回、ストレステストを言い出したのは、松本復興相の今回の一連の騒動と、おそらく関係があるのだろう。
 菅首相の行き当たりばったりはおなじみで、今さら取りざたするほどのものでもないが、彼は市民運動出身の政治家で、国民受けする政策を見極める直感力と目の前に迫った危険を避ける逃げ足の速さだけは定評がある。いま彼の手元にある使えそうなカードは脱原発だけだ。
 例えば、小沢一郎元代表が菅政権倒閣の決意を固めて、まさに倒閣の流れが盛り上がる直前に浜岡原発を止め、菅内閣の支持率は急上昇した。断崖絶壁に追い込まれつつあった状況で、機敏な行動だ。
 今回も「菅辞めろコール」が与野党に広がる中、内閣改造でひと息入れた。しかし予想外の松本龍復興相辞任劇で再び、政権の求心力に大きな疑問符がつくと、ストレステストである。原発再稼働路線を続けるよりは、国民受けする脱原発姿勢に舵を切った方がいいという判断だろう。
 管内閣の支持率が劇的に改善する要素は皆無なので、支持率が下がりそうなときには、浜岡原発停止やストレステストのような
脱原発の
政策を掲げ、支持率が落ち着けば、現実的な再稼働路線に戻るといったことを、今後も繰り返すに違いない。

 延命のみを考えれば、特例国債も再生エネルギー法案(既に補助金を打ち切っているのに)通らない方が管首相にとっては都合が良いのだろう。そして、財源と重要政策を掲げて、秋に総選挙をするなら、管民主党にも勝ち目はあるかもしれない。とすると、松本復興相のような方々が管首相にすり寄ってきて・・・。

 地域主権をいうなら、いろんなことで国に下駄を預けるような態度は宜しくない。九州電力のやらせメールはたしかにひどい話だが、選挙で選ばれた地元の知事が首相の迷走に振り回されるのは情けない話だ。さらにその知事が国の対応に文句を言えば、文句を言っている知事の態度に納得する国民もどうかと思う。昨日の説明会にしても、学級委員が担任の先生に文句を言っているようなものである。

 本当に長幼の序がないのであれば、原発で事故が起きれば被害にあうのは地元なのだから、原発の再稼働は国の方針がどうあれ、地元が独立して考えるべき問題だと思う。
キーワード: 原発
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