祝 辞
厳しかった冬の寒さも和らぎ、生命が躍動し、旅立ちと新たな出会いが始まる、希望に満ちた輝かしい季節が巡って参りました。
本日、晴れて、天草高校を巣立っていかれる卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。
また、保護者の皆様に対しましても、心からお祝いを申し上げます。
さて、卒業生の皆さんは、今、高校生活を振り返り、さまざまな思い出がよみがえっていることでしょう。正大・剛健・寛厚の校訓のもと、勉学やスポーツに励み、数多くの体験や出会いがあり、たくさんの友人を得ることができました。これは、皆さんの何ものにも代えがたい貴重な財産であり、今後の人生に自信と勇気を与え、苦難を乗り越える大きな力となるものです。
これから、それぞれの新しい目標や夢に向かってスタートされる皆さんに対し、私からのはなむけの言葉として次の三つの言葉を贈りたいと思います。
一つ目は、『高い志を持ち続けてほしい』ということです。誰もが平等に暮らせる世の中を夢見た、幕末の英雄である坂本竜馬は、「世に生を得るは事を為すにあり。」という言葉を残しています。これは、人生の目的は、出世したり、事業や学業で成功して、財産や地位・名声を手に入れたりすることとは限らない。事を成すこと、つまり、夢や目標を実現することにより、人生で何かを成し遂げること、人生に意味を持たせることが大切なのだといっています。お金や単に利己的な満足を追い求めるのではなく、「社会に貢献する」という高い志を常に持って、皆さんはこれからの人生を切り拓いていってほしいと思います。
二つ目は、『失敗を恐れず、何事にも積極的にチャレンジしてほしい』ということです。本田技研創業者 本田宗一郎氏は「チャレンジして失敗することを恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。」と言っておられます。成功の裏には数多くの失敗がつきものです。度重なる失敗にもかかわらず、それを乗り越えて成功した時の達成感や感動が自信に繋がり、人間的に一回りも二回も大きく成長することになるのです。失敗を恐れていたら、何も行動できません。やらないで後悔するよりも、やって後悔した方がまだ経験や結果が残ります。
皆さんは、失敗を恐れず、ぜひ、何事にも果敢に挑戦する勇者となってほしいと思います。
そして三つ目に、『感謝する習慣を身に付けてほしい』ということです。松下電器の創業者である松下幸之助氏は、「感謝の心が高まれば高まるほど、それに正比例して幸福感が高まっていく」と言っておられます。つまり、幸福の安全弁ともいえるのが感謝の心なのです。昨今の日本においては、その豊かさとは裏腹に、感謝の心が失われつつあるような気がします。感謝の心があってはじめて、物を大切に使う気持ちや、謙虚な心が生まれてきます。生きる喜びやゆとりも生じ、人と接する場合にも衝突や争いが少なくなります。不満や怒りで心が暗くなったとき、感謝の心を忘れていないか自問自答してみてください。
日本語で最も美しい言葉は「ありがとう」だと思います。当り前と思えることにも感謝し、心から「ありがとう」と言える習慣を身につけ、幸福感に満ちた人生を歩んでほしいと思います。
百年に一度といわれる経済危機の中にあり、先行き不透明な世の中ではありますが、将来の天草を、そして日本を担っていくのは皆さんです。常に高い志で、何事にも積極的に挑戦し、感謝の心を持って、これからの人生をしっかりと生き抜いてください。私達も心から応援しています。
最後になりましたが、校長先生をはじめとする諸先生方には、これまで熱意あふれるご指導をいただき、誠にありがとうございました。今後とも、卒業生の前途を温かく見守ってくださいますようお願い申し上げますとともに、卒業生の皆さんの未来に、幸多からんことをお祈りし、祝辞と致します。
平成二十二年三月一日
天草高等学校育友会 会長 渡邊 英人
2010年02月27日更新