秋。外は雨。

糸のように長く尾をのばして、地表に降りそそぐ。

絶え間なく、音もなく、際限なく、降りそそぐ。

海は、鈍色の曠野。

街は、鼠色の傘の波。

コンクリートの建物は、汚れた灰緑色。

パンには、極彩色の黴の華。

虚飾の大地に、雨は深々と降りそそぐ。

このまま、この世界は毒々しい水気を孕んで、

ついには、破裂するのだろう。

雨は、降る。降り続く。

夕闇があたりを覆う。

明日は、どうだ。

明日も、降り続くのか。

いつか見た、明るい日差しは、戻ってくるのだろうか。

あぁ。

未来の見えない、今日がまた暮れる。

根拠のない期待を抱いた我に、暗幕を被せるかのように。

コメント(0件)

 

■コメントを書く
タイトル
本文 *必須
お名前 *必須
メールアドレス
ホームページアドレス
削除パスワード*必須
コメントを削除する際に必要になります。
認証キー *必須 下の画像に表示されている数字をご記入下さい。
(画像は毎回変わります)