秋。外は雨。
糸のように長く尾をのばして、地表に降りそそぐ。
絶え間なく、音もなく、際限なく、降りそそぐ。
海は、鈍色の曠野。
街は、鼠色の傘の波。
コンクリートの建物は、汚れた灰緑色。
パンには、極彩色の黴の華。
虚飾の大地に、雨は深々と降りそそぐ。
このまま、この世界は毒々しい水気を孕んで、
ついには、破裂するのだろう。
雨は、降る。降り続く。
夕闇があたりを覆う。
明日は、どうだ。
明日も、降り続くのか。
いつか見た、明るい日差しは、戻ってくるのだろうか。
あぁ。
未来の見えない、今日がまた暮れる。
根拠のない期待を抱いた我に、暗幕を被せるかのように。
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