日本人の美点とはなんだろう

日本人の美風

 

 熊日新聞のくまにち論壇に、熊本保健科学大学学長の小野友道先生が、「IT時代こそ日本語教育を」という題で、国際化の今、私たちは日本の文化を守りながら、外国との付き合いをするに十分なアイデンティティを持ち合わせているかどうか。また、それらを次の世代に継承できるか真剣に考えたい。リテラシー教育は文化を守る切り札である。読書の秋、テレビを消して本を読もうと結ばれている。

 

 小野先生は皮膚科医の医師でいらっしゃいますが、天草へ思いを寄せ、五足の靴100周年の年2007年に「五足の靴のものがたり」を出版されています。

 

 その年の記念事業で天草の文学について、出久根達郎さんの記念講演とパネルディスカッションを企画されました。そのことを思い出し、手に取ったのが出久根達郎さんの「日本人の美風」という本です。

 

 ニホン人の美点とは何だろうか? 「優しさ」「親切」「つつしみぶかい」このような日本人の良さを列挙し日本人論を展開していく本である。

 

 二宮尊徳の凄味、野口英世のパトロン、樋口一葉の清貧など7つの短編から構成されている。出久根達郎さんは作家であり古書の店主です。短編の中の考察も様々な本や手紙などから中心人物にかかわる周りの人々の「篤志」「陰徳」「義理」「思いやり」を紹介しています。

 

 結びの短編は「よく耐えてこられましたね」皇后美智子さまの読書。皇后が講演で「悲しみの多いこの世を子供たちが生き続けるためには、悲しみに耐える心が養われると共に、悦びを敏感に感じ取る心、喜びに向かって伸びようとする心が養われることが大切だと思います」と話された。これは読書の本質論ではあるまいか。

 

 東日本の被災地を見舞われた際に、両手でこぶしを作られ、力強く振られた、「がんばりましょう」のエールと笑顔は被災地の水仙に他ならない。「よく耐えてこられましたね」と労われたこの一言は皇后の「思想」である。

と結び、時代を超えて胸を打つ「日本人論」を展開されている。

 

秋の夜長に一読する価値のある本だと思います。

 

天草市立図書館がまってますよhttp://www.lib.city.amakusa.kumamoto.jp/

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