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時は人を待たざるなり

東向禅寺の紅梅

 天草市本町の東向禅寺に参拝した。山門をくぐると広々とした境内に紅梅の老木が

見事な花を咲かせていた。

 

 本堂にお参りをすませると、ご自由にお取りくださいの張り紙が目に留まった。そこに

は詩が書かれた一枚の紙が置かれていた。

 

    日の昇にも 手を合わせず

       月の沈むにも 心ひかれず

    あくせくとして 一世を終えて行く人の

      いかに多きことぞ

 

       道のべに 花咲けども見えず

          梢に鳥鳴けども聞かず

        せかせかとして 過ぎ行く人の

           いかに多きことぞ

 

    二度とない人生をいかに生きいかに死するのか

       耳をかたむけることもなく

    うかうかとして 老いたる人の

       いかに多きことぞ

 

    川の流れにも 風の音にも

       告げたもう声のあることを知らうともせず

    金に 名誉に 地位に奔走し終わる人の

       いかに多きことぞ

 

    時は人を待たざるなり

 

                                           (詩 板村 真民)

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