ちょっと前の話をします。
小3になる息子がいるのですが、今年の夏は、どこにも連れて行けず、
思い出になるようなことをしてやれなかったので、職場の人(Aさん)と
その人の息子(小3、うちの子と同級生)の4人で魚釣りに行きました。
私の父が伝馬船(”ろ”で漕ぐ船)を持っているので、思い切って船釣り
をしてみようということになりました。
”ろ”で漕ぐのは、高校以来約20年ぶりで最初港から出るまで30分く
らいかかりました。しばらくすると、調子を取り戻し、港から200m先に
ある灯台目指して船を進ませました。1時間くらいしてやっと到着した
ので、Aさんにイカリの替わりに用意してあった石を下してくださいと
指示しました。石には緑のロープが巻きつけてあり、その下には、
何重にもロープがまるめてあったので、Aさんは勢いよく投げ込みました。
すると、石にはロープがつながっておらず、無残にも海の底に沈んで
しまいました。船を固定できず、しばらく流されていたところ私の父から
電話がありました。「調子はどがんや?”ろ”は壊れたらどがんしよう
もなかけんな。あと、フェリーが来たときは、船首ば前に向けんと沈む
かもしれんぞ。」とアドバイスをもらいました。
その5分後です。ミシミシと”ろ”がきしみ始めたかと思うと、”バキッ”と
折れてしまいました。そして船首はフェリーに対して反対の方向を向い
ており、最悪の事態となってしまいました。折れた”ろ”で必死に漕いで
は見るものの、船は全く進まず、かえって潮に流されてしまいました。
テンパったわたしは、Aさんに「俺が泳いで船ば押しますけん。」と言い
ました。Aさんは、「待て、俺の知り合いがそこの養殖イカダのところに
おるけん、電話してみる」知り合いに電話したAさん「○○、今どこにおっと~?」
電話相手の○○さんからの返事は、「今、長崎です。」とのこと。どうも
イカダにいたのは、○○さんの弟らしく、電話してもらったのですが、弟さんは
電話を持って行ってなかったらしく、船が動き出したと思ったら、そのまま
家の方に帰って行きました。
その間にも、船は流されつづけ、港よりも対岸の景色が近くなってきました。
Aさんとどうしようかと話し合っていると、私の息子とAさんの息子が
「お父さん、腹減った~」と言い出したので、コンビニで買ってきたオニギリ
を渡しました。
おいしそうに食べる子ども達を横目に船をなんとかもとに戻そうと折れた
”ろ”で漕ぎ続けていました。途中Aさんが「茶なっと飲め~」と言ってくれ
ましたが、遭難してはいけないと思い、「今、飲む気がせんけん、後でもら
います。」と断りました。その間にも子供たちは、「お父さん、から揚げも食
べてよか?」と呑気な子ども達です。
しばらく流されたあと、私の知り合いに漁業をしている人を思い出しました。
早速電話すると、海の上で仕事をしているということで、「ごめん、”ろ”の
壊れたけん、船ば引いて港まで連れて行ってくれんどか」と話すと、
「ちょっと待っとって。」と言ってくれ、約10分後、迎えに来て、港までけん引
してくれました。帰ってから、私の父に話すと、「大体、この船は、二人乗り
じゃん。」と驚きの一言。そんな大事なことは、乗る前に教えてほしかった
のに…(T_T)
それから私の長男が一言。「船で魚釣りは、いっとき行きたくない。」