2009/3/19 第65回コラム「幻燈会と地域情報化」
みなさんこんにちは!
うちわEBI'sの忠文です。
(今日は長文ですm(_ _)m)
まちづくりの世界に
「現代の語り部」と言われている
延藤安弘という方が居られます。
現在は愛知産業大の先生ですが、
以前は熊本大学で教えておられたこともあります。
最近、
菊池で行われていた
まちづくりのイベントに
参加する機会があったのですが
その中で延藤さんと
出会いました。
延藤さんは、
「幻燈会」という独特の
会を催されています。
(幻燈会でのスライド画像)
幻燈会とは、
一言でいえば
”電動紙芝居”です。
スライド映写機というものを
みなさんは覚えていらっしゃるでしょうか?
ポジフィルムに撮影した写真を
壁やスクリーンに投影する装置のことです。
現在ではパソコンに接続する
プロジェクターしか、そのような
装置を見かけることはないですが、
プロジェクターが普及すると同時に
姿を消していった”OHP”が普及する
さらに前に一般的だったもののようです。
その
スライド映写機が
映し出すスクリーン上に、
様々なまちの風景、
人間模様を描き出しながら、
延藤節とも言うべき
独特の語り口で、
”まちづくり”が語られていきます。
住民、
それぞれの思いは
三者三様、
でもあるプロジェクトを
成功させるためには、互いに
共通した”思い”を認識することが不可欠です。
でなければ、
みんなバラバラで意見なんて
まとまるはずもありません。
延藤さんの”幻燈会”は
聞き入っていると、
参加者それぞれの心のうちに
ある”思い”の像が焦点を結び
始めるように感じます。
主観的な感想ですが、
「そう!”これ”をみんなでやりたいんだ!」
というな気にさせてくれるのです。
さて、
この幻燈会なのですが
「地域情報化」という
観点からも大変興味深いと
考えています。
情報化とは、
”表現すること”に近いと
私は考えています。
みなさんが住んでいる地域には、
それこそ無限の情報が埋もれているはずです。
しかし、
それを”表現”しなければ
それは誰にも気付かれることもなく、
人間にとっては存在しないに
等しいとは言えないでしょうか。
”情報”とは、
人間が考え出した概念です。
人間が抱いた感情を、
何らかの形で表現した時、
それは”情報”としての産声をあげます。
そして表現されて始めて
それは相手に伝わり、価値を帯び始める。
日々、
家族に感謝の念を抱いていても、
それを言葉にしないことには伝わらない。
そんなことと似ているかもしれません。
(実家通いの男子大学生には
切実な問題なのです。あと世の中のお父さん方も?)
その意味で、
この「幻燈会」は、
優れたまちの表現(=情報化)だと思います。
そんなわけで、
この幻燈会の表現に興味を
持つようになりました。
そしてこれを真似してみたい!と
考えるようになったのです。
そこで、
まずは形からだ!と安直な私は、
幻燈機を求めてみました。
Yahooオークションで3000円なり。
もはや製造しているところも
ほとんどありません。
高いのかどうかも分からないのですが、
HANIMEX社の家庭用のスライド映写機です。
装置は手に入ったものの、
これに入れるスライドがありません。
スライドは、
リバーサルフィルムという
一般的なネガフィルムとは違う
ものを使うようです。
デジカメしかほとんど
触ったことのない私には、
フィルムは恐ろしい存在です。
我が家に唯一あるフィルムカメラで、
とっても良い天気だった今週の日曜日に
熊本市の古町界隈を撮影してみました。
このリバーサルフィルムは、
普通の写真屋さんでは現像して
くれず、どこかへ委託して現像するのですね。
現像まで数日待ち、
ついに昨日試写してみました。
(スライドを光を通して見たところ)
感想は、
感動の域に到達しています。
キラキラと光るフィルムは、
まるで見たままを閉じ込めたようで、
その光が投影される
我が家の襖(白い壁がなかったので)は、
まるで劇場のスクリーン。
世界の、
そこだけを切り取った小さな窓のようでした。
(襖スクリーンに写る古町の大木)
大変感動した
この試写だったのですが、
幻燈会にはもう一つ重要な点が
あって、それは延藤さんの
独特の語り口です。
うーむ、
これは大変難しい。
”芸”の域に達しているため
安直に真似ることは難しいです。
でもこの名調子
延藤さんの存在感そのものの中に、
地域情報化の秘密の一端が
隠れているように思うので、
追求してみたいと考えています。
・・・
”地域情報化”は、
以前は行政システムの効率化として捉えられ、
現在でも、便利なコミュニケーションツールとして
の立ち位置に収まったままです。
ですが、
情報化と表現に注目して考えたとき、
”日常にスポットライトを当てて、
日々の感情を表現し伝えあうこと”
そんな家庭円満の秘訣のような言葉の中に、
その可能性は眠っているように思います。
天草webの駅も
もしかする幻燈会のスクリーンの
延長線上にあるものなのかもしれませんね。
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