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うちわEBI’sオブザーバーのつまがるです。

 

台風13号は熊本県には大きな被害をもたらすことなく、去ってくれて、

ホッとしました。
ただ、私の故郷である宮崎県南部では、風はたいしたことはなかったも
のの、最近では記憶にないぐらい恐ろしいほどの雨が降り大変だったよ
うですが。

 

そんな中、昨晩は近隣の若い自治体職員さん8人が集まっての自主勉強
会を私の研究室で行っていました。
仕事を終えて研究室に集合し、視野を広げるため、分野外の論文をみん
なで読んでいます。
参加者はこの勉強会を「つまがる塾」と名づけているようですが、昨夜は

23時近くまで、およそ3時間以上ぶっ続けで議論をしていました。

 

昨日の勉強会のテーマは「正統的周辺参加」という理論。
うまく発展していく組織には何が必要なのかということを扱う理論です。

 

その理論では重要なことはたくさんありますが、ごく簡単にいうと組織に入った

新参者(新人)が曲がりなりにもその組織の実践に参加できていること、そし
て熟練者(上司たち)が新人から学ぶことの必要性も説くものです。

 

新入りを見ていると、仕事ができないのでついイライラしがちですが、正統的

周辺参加という理論から見たとき、新人とは組織を外部環境の変化に適応さ

せていく重要な役割を担っています。

 

海外に本社のある著名な、ある巨大企業の例ですが、そこに入社した新人は、
巨大企業に就職したためにどうしても入社後は安心してしまう傾向にあるの
だそうです。
そのために、そこの新人研修では以下のことを話しているとのことです。

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 君たち、何を勘違いしているんだね。
 ダーウィンの進化論
   最強の種が生き残るのではなく、
   知性の高い種が生き残るのでもない、
   最も変化に適応し続ける種が生き残るのである。
 をよく読んでごらん。
 巨大企業とは、むしろ環境の変化局面には弱いんだ。
 生き残るためには常に変化し続けないといけない。
 君たち若い人たちを採用しているのは、君たちに
 この会社を新しい姿に変えてほしいからなんだ。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

※この話は、県立大学の60周年記念シンポで野村HDの方の基調講演で聞いたことです。

 

人間が環境に適応していく道具は広い意味での「学習」でしょう。

 

プライベートな時間を費やして自主的に学習している若い世代と一緒にいま
すと大変刺激的です。
この人たちが務める職場はきっと変化し続けていくのに違いないと確信して
います。

台風の進路によっては開催できるかどうか危ぶんだ勉強会でしたが、正統的
周辺参加論を一緒に勉強しながら、以上のようなことを感じた有意義な夜でした。

オブザーバー役のつまがるです。久しぶりにコラムを依頼されました。

今日は、現在、私の研究室で始めようとしているあるプロジェクトの紹介です。

 

 

ごくありふれた草花である薺(なずな)、いわゆるペンペン草ですが、これが目の前に咲いていても、普段それに気づく人はいないと思います。

だいたい、私などは薺(なずな)がどんなものかもよく知りませんので、気づきようがないのですが・・・

 

ところで松尾芭蕉は、薺(なずな)に関して、こんな句を詠んでいます。

 

    よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな

 

さすがは芭蕉。普通の人だと気づきもしないペンペン草に感動したようです。

一般的には、この句がどんな感じで解釈されているか、俳句の知識に乏しい私はよくは知りません。

ただ、ペンペン草という、踏みつけていても気づかないほどのありふれたものであっても、よーく見れば、実は新鮮な感動を与える対象なのだ、ということをこの句は教えてくれているように思えます。

 

芭蕉の優れた感性には驚きです。

ぺんぺん草に感動を覚える芭蕉の鋭い感覚に驚かされたわが研究室では、この芭蕉の感性を継承すべく、あるプロジェクトを立ち上げました。私たちは、これを、


   薺(なずな)花咲くプロジェクト


と呼んでいます。

これは、日常に埋没してしまい、人々が気づかなくなっている「地域の記憶(価値)」を蘇らせるためのプロジェクトです。

具体的には、街などを複数人でゆっくりと、それこそペンペン草にもちゃんと気づけるような速さでゆっくりと歩きながら、その場所の特徴を情報化していくものです。

日常の中に埋没している微細な変化を捉えようという高度に知的な挑戦です。

しかし、残念ながら、めぼしい成果はまだ何も得られていません。

 

現在は、わが研究室と近隣自治体の若手職員有志とで細々と行っていますが、今後は、うちわEBI’sのメンバーを核にしてちょっと真面目に「薺(なずな)花咲くプロジェクト」を推進していく予定です。

 

ひょっとすると、ある日、プロジェクトメンバーが薺(なずな)を探しに天草の地にふらりと現れるかもしれません。その際は皆様どうぞよろしくお願いします。

こんにちは。学生サポート室オブザーバーのつまがるです。

 

大学は空調の調子が悪く、暑くてたまりません。
研究室にはPCがおいてあり、学生がそれを使うと、調子の悪い弱々しいクーラーの冷却では間に合わず、あっという間に室温は30度を超してしまいます。
空調の温度計は30度までしかないので、実際に何度になっているのかは不明です。

そんな中でもとりあえず仕事をしておりますが、暑くて能率が悪いことこの上ない状態です。大学に職を得て以来初めて、夏ばても経験してしまいました。

 

改めて、クーラーというものが偉大な発明であったことを認識させられました。
夏にクーラーが無かったらITなど役に立つことはないでしょう。
インドがITで急速に伸びて来ていますが、これもクーラーの普及がそれを後押ししていることは間違いありません。今、弱々冷房中の研究室で、汗をかいている肌で、それを確信しています。
Googleが膨大なサーバー群を維持できるもの空調機の存在なしには考えられません。
IT社会を維持している重要なインフラが「クーラー」であることに気づかされたこの夏でした。

 

余談が長くなりました。ここから本題です。
まったく、コンピュータとは無縁の話ですが、先日、市内のある地区の商店街活性化を考えるために、現地のフィールドワークとして商店街を見て歩く「まち歩き」に参加してきました。


知り合いからの誘いで、面白そうだと思い参加したものです。

 

移動するスピードによって目の前の景色が変わることを実感した歩きでした。

(てっきりボランティアだと思っていたら・・・)仕事として来ていた県職員の方がその地区のめぼしい商店街を紹介しながら、商店のひとつひとつを見て歩きました。
歩きながらだと色んなものが見えるものです。
テニスに出かけるときによく車で通る道も歩いたのですが、まったく違った景色でした。


商店それぞれの面白さもですが、私の印象に残っているのは、あるラムネ製造をやってきる古いお店の前に積み上げられた膨大な薪(まき)の山。
熊本市の街中で、いったい何に使うのだと思いたずねたら、薪ストーブに使っているとのこと。
なんてオシャレなんだと思いました。
そしてその調達方法がまた面白い。
街路樹を剪定している横を通りかかったときに、剪定されたものをもらってくるのだそうです。
制定作業している人たちに「くれ」と頼むと、喜んでくれますよと仰っていました。
大気中の二酸化炭素を吸って大きくなった木々で暖をとる。
しかも原料はタダで入手。
なんて、エコなんだと思いました。

 

商店以外で印象に残っているのがもうひとつ。


ある自然食品のお店を見学して、お店を出た直後のことです。
そのお店と隣のお店の間に、それはもう見事な路地があるではありませんか。
細くて、人しか通れない狭いけれど、大変にきれいな路地でした。
思わず小さな歓声をあげてしまいました。デジカメで写真もたくさん撮りました。
路地って、大人たちのコミュニケーションの場であり、そして子どもたちが遊びときの抜け道の役割を果たしていましたが、最近は路地裏をあまり見かけることがありませんでした。

 

恐らく街の中にはきっとたくさんあるのでしょうが、車で通過する時は絶対に気づかないし、歩いていてもたいていは行き先を目指して一目散なので目に入らないのだと思います。

 

路地という目立たない空間は、無目的な行動をしているときではないと目に入ってこないのではないかと思います。

 

目的を持った移動は、その目的に該当する対象しかピックアップされません。
かなり前に当時の小泉総理大臣が国会答弁の中で、物見遊山の旅の面白さと大事さを話題にしたことを覚えていますが、物見遊山的な行動は思いもよらないものを発見するには重要です。

 

無目的に歩く。そんな人を「遊歩者」と言います。


目的をあえて捨てることで、街のほうが自らが持っているものを遊歩者には語りかけてくる-そんな気がします。
もしも今まで黙っていた街が自ら語りかけてくれるならば、それまで見過ごされていた街のリソース(地域遺伝子)を発見できるはずです。


そんな発見には、その街に慣れ親しんだしまった地域の人たちよりも、外部の人のほうが良い場合もあります。


以前のわたしコラム(第8回コラム)の最後で、

 

  さて、さらに、「共発」のための小さな試みとして学生のパワーを活用するという

  話を書きたいと思いましたが、長くなりましたので、今回はここでひとまず終わ

  ります。次回、私の出番がまわってきたときにでも書きたいと思います。

 

と書きましたが、その小さな試みとして、今回話してきた物見遊山的な街歩きを学生に参加してもらってやってみようと思っています。

 

学生たちはメディアのあり方を勉強することを目的にしているのですが、街の価値の発見を目指して、そのとき遊歩者の態度で街を歩いてもらおうと思っています。

うまく行くかどうかはもちろんわかりません。しかしまあ宝くじと同じでやらないと発見もありませんから、やることに価値があると思います。

 

街歩きの対象地域のひとつとして天草を考えています。「天草行きの予算が取れれば」ですが・・・

予算をゲットできたら、私のゼミ生総勢50人の中の精鋭10~20人ほどを引き連れて出かける予定です。
ゼミの研究課題なので論文などにまとめるつもりですが、結果の一部はWebの駅上にもアップしたいと思っています。


大学生によるまち歩き

 

天草だとどんなところが良さそうか、面白い地区をどなたかご紹介していただけるとうれしく思います。

 

長くなりました。(^^)

以上です。

こんにちは。EBI'sオブザーバー(?)のつまがるです。

 

県立大学の研究室からではなく、今回は自宅から投稿しています。
Anytime(いつでも)、Anywhere(どこででも)というユビキタスな環境は大変便利です。
だけど、その反面、死ぬほどこき使われてしまうという恨めしい面もあります。

最近、岩波新書に「テレワーク―「未来型労働」の現実」という本が出たようです。
こんど読むつもりですが、その本について岩波書店のホームページには、

 

  自宅のパソコンを使ったり,出先でモバイル機器を利用しながら,オフィス以外
  の場所で仕事をする──テレワークとはそうした「柔軟な」働き方をいう.はたして
  これは仕事と生活を調和させた「夢の未来型労働」なのか.それとも働き手の私
  生活に食い込んでくる歯止めのない労働の安売りなのか.・・・

 

と紹介されていました。このコラムも「日曜日に書け!」と普段から忘れっぽい私に
向かって学生メンバーからきつく申し渡されたものです。

昨夜、飲み会だったため頭痛に悩まされながら、その指示を守って日曜日(!)に労

働の安売りをしております。(^^)


余談が長すぎました。
タイトルのテーマについて、思いつくままに書き綴ってみたいと思います。
(力が足りず、コラムにしてはかなり固い文章になってしまっています)

 

 なぜだか最近「まちづくり」に関する本を読むことが多くなりました。「天草Webの駅」
を知ったからかもしれません。数多く読んだ本の中に後藤春彦著「景観まちづくり論」と
いうのがあります。この中に、

 

  「低生産性」と「周縁性」という地方の地域が抱える課題を効率よく克服するために、
  戦後、日本は外発的発展モデルでまちづくりをすすめてきた。

 

とあります。地域の外からの力に大きく依存する発展の時代がありました。
こうした外発的発展モデルのまちづくりは地域が歪を生みだすこともあり、1970年代
になると、「内発的発展論」が提唱されるようになってきたようです。近代化の中で消え
ていった地域の町並みを保存する運動など、地域にある潜在的な資源を活かしたまち
づくりが盛んに行われるようになったとのこと。

 

 実際にそんな例はあちこちの町で見ることができるのではないかと思います。熊日新
聞でも報道されていましたが、今年度の都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」の受賞
地区は南小国の黒川温泉地区でした。
  国土交通省紹介ページ→ http://www.mlit.go.jp/common/000015511.pdf

 

実は前年度も熊本県が大賞を受賞しています。山鹿市豊前街道山鹿温泉界隈地区
がそれです。
  国土交通省紹介ページ

  → http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/townscape/07machinami/yamaga.htm

 

両地区の審査評によれば、両地区共に住民と行政との協働(コラボレーション)で発展
してきたもののようです。内発的発展モデルの代表例と見ることができるのはないかと
思います。

 

 さて、この内発的発展モデルには最近少し修正論が出ています。内発のみというの
はあまりに理想的過ぎるのではないか、と。地域には内発的な力と外からの力(外発
的な力)とが共存しているのであって、その相互作用を期待すべきではないのかという
ものです。

 

 景観まちづくり論によれば、「共発的まちづくり」とは、

 

   地域内に閉じた発展のモデルではなく、他都市や他地域との協調・連携のもとで
   地域の自律を探るものであり、市民がこれまで地域を育んできた実績やその社会
   的記憶、さらには市民独自の問題解決能力をもとに、多元多発的なガバナンスを
   めざすものである。

 

とあります。私自身が地域の情報化の勉強しているのですが、共発的発展論は、それ
と重なる部分が多くて大変共感しています。

 

 地域の人たちが生活を通して地域に埋め込んできた様々な価値(地域遺伝子)は、
地域の人には余りにも当たり前すぎて見えにくくなり、価値としては埋没してしまいがち
です。私たちが空気の存在をふだん意識しないのと同じです。内部と外部の力の協働
(コラボレーション)には、地域に埋め込まれている潜在的な価値を発掘し、発展させる
可能性を秘めています。

 

 Webの駅には天草を出られて「外」の視点を持たれた方が準会員として多く参加され
ていると思います。そういった方々と現在居住しておられる「内」の視点を持った方々を

接続しコラボレーションを生起させるためのひとつの道具としてWebの駅には大きな可

能性を秘めているように思います。

 

 学生サポート室のメンバーではWebの駅の可能性として、そんなことも話したりするこ
とがあります。しかし、今のところ具体的な知恵はまだ何もでていません。ただ、メンバ
ーのひとりが面白いことを考えていて、「外の人が、内部に人に依頼してここを見てきて
ほしい・・・(だったかな?)」という活動を引き起こす仕組みづくりを行うというものです。
まだ具体化はしていませんが、大変面白いなぁと思っています。

 

 さて、さらに、「共発」のための小さな試みとして学生のパワーを活用するという話を
書きたいと思いましたが、長くなりましたので、今回はここでひとまず終わります。次
回、私の出番がまわってきたときにでも書きたいと思います。

北川正恭・早稲田大学大学院教授が、三重県知事時代に、職員に向けて、よく
  小さな一歩を踏み出す勇気を持とうよ
という意味のことを話していたというのをどこかで読んだことがあります。


簡単なようで、これがまた難しい。自分でよく分かります。
人は実際に行動として一歩を踏み出すことがなかなかできない。
だから「勇気を持とうよ」なんだろうと思います。

 

冬場、目が覚めて起きなきゃと思いつつもなかなか布団から出ることが
できない経験を多くの方が経験されているのでは?
そんなとき、頭で考えているだけではコトは先には進みません。
布団からでるコツは、考えずに、とにかく「エイヤ!」で布団をはぐことです。
頭でなく体を使う。
その小さな行動によって、脳みそに行動のスイッチが入って、活動のために脳が
動き出すのだと、すでに亡くなった著名な脳科学者の本で読んだことがあります。

 

大学は4月の喧騒もとれてようやくキャンパスは安定期に入ってきました。
この時期、4年生などは卒論のテーマなどに向かっていますが、これがまた
なかなか進まない。
進まない学生に共通することが、小さな1歩を踏み出す「勇気」が足りない
のではないかと感じることがあります。
とにかく何か具体的に始めろといっても動かない。
ひたすら何かを調べている。
もう調べなくていいからと言っても、あてどなく何かを探し求めてネット上を
彷徨っています。
体を動かし、小さな具体的な行動を起こすのを拒否しているように見える。
まるで、ネットが冬場の布団のようになっているようです。

もっともこれは学生に限りません。三重県職員の多くもそうだったんでしょうし、
多数の方が該当すると思います。

 

鹿児島には「泣くよかひっ」という言葉があるようです。
確か、司馬遼太郎の幕末を描いた小説「翔ぶが如く」に出てきたコトバだったと記憶しています。

 

跳べるかどうかわからない目の前の溝を前にした子どもが、いろいろ考えて
泣いているときに、言うような言葉だそうです。
最後は、理性ではなく行動なんですね。

大変気に入り、弱い自分の心に負けないために、このコトバの力を借りています。
ある程度考えたら、ごちゃごちゃと考え過ぎるのはやめて、さっと行動に移すよう
にしています(後で困ることも多いですが・・・)。

 

理性は「前に」進ませる力はありません。最後の最後は跳ぶ(行動する)
小さな「勇気」が重要。
北川教授が知事時代に言っているのもこれと同じなんだろうと思います。

 

Webの駅学生サポート室(←天草らしいネーミングに変えたいのですが)。

このサポート室も、「泣くよかひっべ」精神で始めたものです。

深い考えがあってのことではありません。
どうしてよいか自分たちでも良く分かっていない。
だからこそ面白いとも言えますが。
ワイワイガヤガヤと話し合いをしながら面白い/下らないアイデアを生み出しています。
それを徐々に、徐々に、カタチにしていきたいと思います。
学生がボランティアでやっていることですから、その動きは遅いです。
その点はお見逃しください。

 

天草の面白い情報があればサポート室にお寄せくださると嬉しいです。

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