七十二候だより いのちの暦 [第71回]
第五十七候 立冬 末候
金盞香 きんせんこうばし


立冬を知らせる、菊と山茶花。
昼と夜の長さがほぼ同じという
十六節気「秋分」から、徐々に夜が長くなり、
草木に宿る「白露」(十五節気)は
十七節気では「寒露」になって、寒いという文字が表れます。
菊の花に宿った露を綿にしませて、その香りを枕や部屋に
移したという「菊枕」の露はこの“寒露”。
菊の花が咲き始める節気です。

そうして、十八節気の「霜降」になると、
文字通り霜が降り、紅葉の季節となります。

暦の上で、ぐんぐん寒さが増して行く
その表現の豊かな季節を、すっかりお休みさせて
いただきました。すみません。

早々と寒さを迎えた割には、思いのほか、
冷えていくのがゆっくりの東京の
晩秋から初冬の景色です。

ご近所から庭の柿をいただき、
東京にも案外とたくさんの柿の木が植えられている
と、今年知りました。田舎から送られてくるもの、
とばかり思っていましたから。

山茶花が、もう咲いてる、と思ったら、
いま十九節気の「立冬」の“初候”第五十五候は、
山茶花が開き始めるころ。



“末候”第五十七候は、
金盞、つまり水仙の花が咲くころ。
冷たい雨が似合う水仙や、
凍りかけたみぞれがきれいな山茶花。
ともに、立冬の花なのですね。

こうして、かけ足で暦を旅すると
気候の移り変わりと状景の関係が
よくわかります。
私たちは、意識するとしないとに関係なく
間違いなく暦の上を走り続け、
季節を繰り返すのです。

繰り返す、そのことがどのような意味を
持つのか、まさにそれこそが与えられた時間
なのだと、そこまでしかわかりません。

そうしてひとまず、
1年で一番昼の短い冬至へと今年も向かい
一陽来復まで努めるのです。

千葉県の片瀬純子さんから
「七十二候だより、楽しみにみせていただいて
おります」と、おはがきをいただきました。

言葉にできない感謝の気持ちは
再開することで形にします。
がんばりますね。


片寄斗史子



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2015年11月20日更新