鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす

七十二候だより いのちの暦 [第65回]
第三十三候 小暑 末候
鷹乃学習 たかすなわちがくしゅうす

サルスベリの花が鈴なりに開いて梅雨開け。

これは7月中旬、出勤途中の公園で、
今年も花咲き始めた白いサルスベリを見て、
“私の七十二候”を気取ってみたものです。

三角垂のようにサルスベリの花が開くと、
りんりんりんと、神社で巫女さんが持つ“巫女鈴”を
いつも思い出します。

七五三のときだったと思います。
お社の中に上がって、ご祈祷を受けていると、
鈴を持つ白い顔の巫女さんがあらわれ、
その手首が動くたびに鈴の音がして、
どこか違う世界からの音のようでした。



今年の7月半ばは台風11号。
みなさまに被害はありませんでしたでしょうか。

さて、7月半ばの、本当の七十二候は、
鷹の子が飛び方を覚えるころ、
「鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)」です。

一体全体、鷹の子というものがどんなヒナか、
わかりませんが、孵化するのが5、6月とありますから
まだまだ幼いでしょうが、早くも巣立ちの準備をするわけです。

動物の様子や気持ちを考えるとき
必ず思い浮かぶのが、ローレンツ博士の
『ソロモンの指輪~動物行動学入門』です。

親鳥のいない雁のヒナが
刷り込みによって世話をする人間を親と思い付いて歩く、
といった観察記録などを記し、
「“ソロモンの指輪”がなくても、自分がよく知っている
動物の気持ちなら多少はわかる」と著した本です。

“ソロモンの指輪”とは、古代イスラエルの王、ソロモンが
大天使ミカエルから授けられた指輪のことで、
その指輪をすることで、あらゆる動物や植物と会話ができる
というものです。

ひょんなきっかけで、半年ほど前から仕事場で
ペットショップで売られていた子犬を飼うことになりました。
昼間はいろいろな人間が出入りするたびにはしゃぎ
元気で遊んでいますが、
仕事を終えてひとり、ふたりと帰っていくと、
そわそわと人の動きに敏感になり、やがて、
朝まで“ひとり”で過ごします。

やってきた当初はゲージの中に入れ眠らせましたが、
いまではもう勝手にソファでも床でもどこでも寝ます。
そして、朝、誰かがやってくるのを「もう来るかな?」と、
たぶん待っています。

あんまりかわいいので
「かあさんもかわいいの?」などと聞いて、
あ、この犬は生まれるとほどなく“ひとり”ゲージに
入れられて大きくなったんだと気づきました。

誰に生きる術を教わったわけでもないのに
眠り食べ排泄をし、膝に抱かれる。
それが、すべて遺伝子に組み込まれているのでしょう。

犬はそのことに非常に忠実に従って、危険を避け
シンプルに生きるのです。
生まれ落ちて、ただ“ひとり”、遺伝子に守られ独学をする犬、
それがペットショップの犬ではないかと思うのです。
あらためて親も兄弟もなく生きているんだなあと
感心しながら一緒に時間を過ごしています。


片寄斗史子



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2015年07月18日更新