七十二候だより いのちの暦 [第52回]
第十二候 春分 末候
雷乃発声 かみなりすなわちこえをはっす

心にも雷が鳴る

片寄斗史子

4月になりました。
暦は春分の末候、
いよいよ春本番へと移っていきます。

今日は4月3日。
東京は夕べからの強い春風が桜の花を散らせました。
朝の出勤時、次々に花びらは舞い、道に落ち、端に寄って行きます。
どんなに下を向いて歩いても、ピンクの風が
飛び込んできます。

ときどきの強い風は、桜吹雪となって体に触れ、
何とも言えない心持ちにしてくれます。

こんなお花見もあるんだなと、
ちょっとすかすかした枝を見上げると
街路樹の太い幹の新芽が若葉をつけて
次の出番を待っています。



このころ、春の雷が鳴るとあります。
夏の雷と異なり、ひとつふたつで鳴りやむと
説明がありますが、本当のところ、私には
よくわかりません。

けれども、「春雷」と呼ぶ
その響き、文字の素敵さに
心にひとつふたつ響くものがありますね。
心の中にも雷が鳴ることがあって、
このあいだ、友人と久しぶりにメールで話しました。

その夜、友人は、親戚の誰かの結婚のお祝いにと
つくった手づくり石けん200個に
手書きで言葉を書いて包装していたそうです。

味噌から梅干し、化粧クリーム。
とにかくなんでもつくれるスゴイやつですから
200枚書く、というところから違います。

一つ一つ丁寧に書いてきて、途中から途中から乱雑になり
「もういいか」と思い、ふと、
「こんなことでいいのか?」と問いかけたそうです。

せっかく手書きをしたのに、
これでは、もらった人はどんな気持ちがするだろうか、
自分だって、乱暴な字でいいのかと思ったら
心を平静にして取り組もうと思いなおせたそうです。

「このごろ、平静、ということの大事さを思うようになった。
心をおなかのほうに持っていくと心は平静になり、
平静になると気持ちよくものごとを進められる」と言うのです。

そうして、いつからか、「平静に」と自分に
呼びかけることができるようになり、平静の心を
得ることができるようになったそうです。

平静の心の大切さは古くからいわれてきたことですが、
夜更け、友人から伝えられると、気高い言葉も
身近に感じられます。

自分には関係ないやと思う素晴らしい言葉も
どんどん身近になるのは年齢のせい。
心乱れて平静を知るように、経験のたまものです。

同時に、さまざま自分に言い聞かせてやっと、
何とか日々を通っていけることも知っていきます。

彼女の心にも私の心にも
雷は鳴ります。春でも夏でも。
でも、必ず鳴りやむ時を得て凪のときが訪れます。

そんなときに、心の中の雷や花吹雪舞う様子が
「あ、おんなじ」と感じられる、
そういう友がいると慰められ励まされます。

暦もまた友だちですね。

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2015年04月03日更新