七十二候だより いのちの暦 [第74回]
第六十四候 冬至 初候
乃東生 なつかれくさしょうず
小雪、大雪。冬至を挟んで、小寒、大寒。
厳しい寒さの中で日あしがのびていきます。
今年は、12月22日が、二十二節気、冬至です。
冬至は1年中で一番、昼間が短い1日。
けれども、ここから次第に昼が長くなる始まりの日です。
だから、一陽来復。
陰が極まって陽に転ずる、
悪いことばかりだったにしても福に転ずるという
暦の中で、もっとも暦らしい日です。
22日の真夜中から朝方。
うっすらと目がさめたので、
よし、夜明けとともに早稲田の穴八幡宮へ
一陽来復のお札を求めに行こう!と思ったものの、
行列だろうからと理由をつけてふとんの中にいました。
お札は節分まではありますから、
折をみてまいることにいたしましょう。
冬至と対になるのが、日が一番長い、夏至ですね。
冬至の初候(第六十四候)は「乃東生(なつかれくさしょうず)」。
夏至の初候(第二十八候)の「乃東枯(なつかれくさかるる)」と
対になっています。
ほとんどの草木が枯れて行く中で芽を吹き始め、
木々が青々と葉を繁らすころに枯れていく、
夏枯草(靭草・うつぼぐさ)は暦とともに生きる大事な草です。
その一方で、二十三節気は小寒、二十四節気は大寒です。
節分まで、1年で一番寒い日へと向かう中で、
新年は始まります。これも暦らしい流れだと、
ちょっとしみじみします。
寒い暮れ、お正月のお祝いに私の父は子どもたちを
本屋さんに連れて行き、1冊ずつ本を選ばせて買ってくれました。
そのことを新しい「毎日が発見」に書いているころ、
2月号の取材で、絵本作家の安野光雅さんにお会いしました。
ローラ・インガルス・ワイルダーの
『大きな森の小さな家』の原書で読むことに
「ハマっているんだ」というお話で、
その中から一つのお話をまとめた1冊の絵本
『森のプレゼント』を、その日、いただきました。
2時間ばかりのあいだ、「本は素晴らしい!」と
心を込めたお話でしたが、
家に帰って、頂いた本の表紙を見て、思わず
「安野先生!」と手をたたきました。
絵本は、クリスマスのプレゼントのお話です。
表紙に登場する森の生き物たちが手や口にしているのが、
どうやら、全部、本や絵本なのです。
帯には、
「きみはなにをもらったの」ときつねが問えば
「おはなしの本がいいな」と、クマさん。
裏の帯では
豚さんが「え本がもらえるといいけどな」。
うさぎは「本だといいけどな」、「あ! 絵本はいいな」と、
せりふが入っています。
本を愛し、手にしてほしいとの、
安野先生の切なる願いが伝わってきて、
幼い日の、あのころの大人の真摯な思いに
心を動かされます。
新年が素晴らしい年でありますように。
お祝いに心を込めてお正月を迎えましょう。
今年1年、読んでくださったことに心からお礼を申しあげます。
片寄斗史子
毎日が発見
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2015年12月23日更新