毎週土曜日の朝日新聞(be紙面)に読者が悩みを相談するコーナーがあります。今日の相談は20代の女性、母になることを幼いころから夢見て、佳き配偶者と結婚しましたが夫の病で実子は諦めて下さい、とお医者さんに言われました。夫は離婚してもいい、と言います。子供を産める体を持ちながら、子供を持たぬまま一生を終えれば後悔するであろうし,愛し尊敬する夫との離婚も辛い!子供を持つチャンスにかけて離婚するか、二人だけで生きていくかで揺れ動く私にアドバイスを下さい!との悩みに回答するのは、熊本県に馴染み深い政治学者の姜 尚中(カン サンジュン)氏です。彼の回答の要約は次のようなものでした。「今、貴女は悩みの中で立ち止まって考えて欲しいです。立場が逆であったら貴女はどうしますか?愛を通じて結ばれた男女にとって出産だけが結婚の目的なのでしょうか?不運や悲劇、不幸や災難のない人生など、ありません。それでも生きていけるという「復元力」は、どこから生まれてくるかと言えば「愛情」からです。貴女をこよなく愛するパートナーと貴女の愛、これこそ何よりも貴女が育むべき「幸せの木」なのです。その木が育っている限り貴女は自分の執着の虜にならなくてもすむ人生が約束されている筈です。子供がいてもいなくても夫婦の愛がある限り、貴女には様々な選択肢が開かれているのです。どうか、最も大切な夫婦の愛を手放さないで下さい」長くなりましたが以上のような回答でした。母になれなかった私も姜さんの回答に安堵し、心安らぎました。

悩みのるつぼ
2022年05月14日更新