1月16日(土)、朝日新聞(reライフ on saturday) 掲載記事
「それぞれの最終楽章」足し算命 ① 緩和ケア医 大橋洋平さん (苦しみ和らげるのは自分だけ)  
  私は終末期のがん患者が過ごすホスピスの緩和ケア医であり、同時に、転移したがんを抱える患者でもあります。2018年6月、大量の下血により十万人に一人という珍しいがんジストが胃に巣くっていると分かりました。胃の大半を摘出する手術を受け110キロ近くあった体重は60キロ台に。つらい治療に耐えたのにわずか10ヶ月でがんは肝臓に転移し、人生最大の落ち込みです。私のがんは症例が少なく他のがんのように「余命〇年」といういい方はしませんが、私のジストは飛び切り悪性度が高いと診断されていました。余命は長いほどいいと思っていたのですが、長さに関係なく日毎に減っていきます。転移後一週間、残された日にちを数えるのはやめ、過ごせた日々を足していこうと意識が変わりました。「足し算命」の誕生です。毎日一つずつ増えていくのは単純に嬉しい,これで落ち込みから抜け出せました。転移は「つらい治療に効果がなかった」のか、「治療を続けたから一か所で済んだ」のか、考え方次第で百八十度変わります。それは他人に指摘されるのではなく、自分が変わるしかないのです。今日1月16日、私の足し算は650日になります(抜粋しました)

1963年三重県生まれ、愛知県弥富市の病棟に勤務、著書に「緩和ケア医が、がんになって」などがあるそうです。とてもとても考えさせられるお話だと思います。そうです、私達は、引き算ではなく足し算の命を生きていかねばなりません。このシリーズは全8回、とあります。毎週、どんな(それぞれの最終楽章)奏でられるのでしょうか?

「足し算命」

2021年01月19日更新