天気予報と言い習わし諺天気予報  ※「天草俚諺集」鶴田 功 著より抄録

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天草俚諺集


 天草市本町小学校は平成20年(2008年)からコミュニティースクールの指定を受け

地域住民を一日講師として学校教育の中に活用しています。:天草市生涯学習人材バンク

〔天気予報の言い習わし(諺)〕・〔地名の由来〕・〔方言と共通語〕

22.5cs天気

 令和4年

21cs7.6

 令和3年

20CS天気 19CS天気 18CS天気

  令和2年                       令和元年                   平成30年     

29天気 28CS天気 27CS天気

  平成29年                   平成28年           平成27年                        

13CS天気 12CS天気 11CS天気  

 平成26年                 平成25年            平成24年

 10CS天気 22CS天気  

 平成23年        平成22年           

   

 天気予報は、今では科学的な情報として新聞・ラジオ・テレビ・携帯・スマホ・タブレット・パソコンなどでも知ることができます。天気を知ることは、災害から身を守ったり、農・漁業を営む人や、旅行、行楽の計画をたてる上でもとても重要なことです。
 気象は、気圧・気温・風による雲の流れなど刻々と変化します。地域や地形によっても状況が異なります。
 春と秋の天気は偏西風の影響で西から東へ移動しますが、夏は太平洋高気圧、冬はシベリア高気圧の影響を受けますので予想するのは大変難しいことです。
気象や台風地震などの情報は、全国各地1300ヶ所の観測所アメダスによる各種データや人工衛星、レーダーなどの情報からより正確な予報が出来るようになりました。
 昔の人々は自然現象の変化や生物の行動などをよく観察して天気を予想し、言い習わし(諺(ことわざ))として言い伝えてきました。
 天気の言い習わしは、確率的には低いけれども生活の知恵として、今もなお言い伝えられています。


自然現象
晴 曇 雨 霜(しも) 霰(あられ) 雪 雹(ひょう)  春霞(はるがすみ) 秋霧(あききり) 靄(もや) 気嵐(けあらし) 朝焼 夕焼 虹  蜃気楼(しんきろう) 霧雨 梅雨(つゆ) 夕立 豪雨 山津波(やまつなみ) 雪崩(なだれ) 風 台風 竜巻(たつまき) 津波(つなみ) 地震 雷


 言い習わし(諺)
自然現象の変化
天気は西から変わる 春秋の移動性高気圧の影響
西が曇れば雨 偏西風(中緯度地帯で西から東へ吹く風)
朝雨に傘要らず ・ 朝雨は日照りのもと 後には晴れる

朝曇り昼日和(ひより) 午後は晴れる
朝露(あさつゆ)は晴れの前ぶれ
 露は晴天の夜に放射冷却で冷えるとできる朝霧(きり)は晴れ
 ※霧は水平視距離(視程)1Km未満
 ※春の霧は「春霞(かすみ)」という
朝靄(もや)は雨  迫靄(もや)は雨
 ※靄(もや)は水平視界距離(視程)1Km以上
朝靄(もや) 昼日和(ひより) 朝靄が深い時は晴天になる
朝虹(にじ)は雨 朝虹は太陽の反対側の西に雨が降るとき見える
東風焼(こちや)け(朝焼け)は雨 ※朝焼けが雨になる確率は低い
夕焼けは日和(ひより)(晴れ)
 夕焼けは西側が遠くまで見えるとき起きる
あなぜん風(北西風)に変われば風雨が止む
海が澄(す)むと雨近し 無風状態
大降り三日なし 大雨が三日続くことはない
おしあなん風(南東風(はえごち))は強い台風になる
初雷に花餅を食えば病気しない 五穀豊穣、無病息災祈願
朝雷に川渡りするな ・ 朝雷に戸を開くんな
 大雨の前兆(ぜんちょう)
雷ン鳴る時は桑畑に逃げろ 桑原桑原(くわばらくわばら)
雷ン鳴る時は蚊帳(かや)を張れ 落雷避難(らくらいひなん)
朝雷には傘持つな 落雷する
冬の一つ雷は虫脅(おど)し 春の訪れ
入道雲は雷の前ぶれ 積乱雲
雨前の鰯雲(いわしぐも)(うろこ雲)
 鰯雲・巻積雲は上空の湿度が高いとき現れる
すじ雲ン時は地震や嵐の前兆(ぜんちょう)
飛行機雲がすぐ消えないときは雨前 大気の湿度が高い
高い山が雲に隠れれば雨 ※地域の高い山(矢筈岳・行人岳)
雲が南東に流れると晴れ(北西風) 北西に流れると雨(南東風)
煙りがまっ直ぐ上がれば晴れ 大気が安定して無風状態
煙りが東に流るれば晴れ 西風は低気圧が通過した後に吹く
東風(こち)は嵐の前ぶれ 低温の北東気流の影響
霜上(しもあ)げには雨が降る
 霜は移動性高気圧で生じ、後に低気圧に変わる
醤油甕(かめ)が汗掻(あせか)けば雨 湿度が高い
土間が湿(しと)れば雨 湿度が多い
橙(だいだい)色の夕焼けは台風の前兆(ぜんちょう)
夕焼け雲が橙色に焼けると台風の前ぶれ
 強風で砂塵(さじん)が舞い上がり波長の短い青は拡散し、
波長の長い赤が遠くまで見える
遠くの音が聞こえるときは雨 雨雲が垂れ込める
鐘の音が近くに聞こえるときは雨 雨雲が低く垂れ込める
夏の早立(さだち)(夕立)は馬の背中を分ける
 夕立は狭い地域で局地的に降る
三月の忘れ雪(霜) 忘れた頃に降る雪のこと
三月浜ン潮が一番引く 旧暦三月の大潮
暑さ寒さも彼岸ぎり〈暑さ寒さも彼岸まで〉
八十八夜の忘れ霜 寒の戻り=八十八夜過ぎは霜が降りない
春に三日の晴れなし 春は天気が変わりやすい
梅雨明けの日本晴れ 太平洋高気圧が張り出す
嵐の前の静けさ 無風状態
台風は西風に変われば止む 戻し風
秋の空は気まぐれ 秋は天気が変わりやすい
秋の夕日は釣瓶(つるべ)落し 落日(日没)が早い
星が瞬(またた)くと時化(しけ)る 低気圧が接近中
星空の翌日は晴れ ・ 夕虹は昼日和(ひより)(晴れ)
夕虹は星晴れ 後には晴れる
地震の時は竹薮(たけやぶ)に逃げろ 地割(じわ)れの心配なし

日暈(ひがさ)、月暈(つきがさ)に雨傘を持て 太陽や月に暈があれば雨

 ※雲が薄ければ雨は降らない
 ※暈(かさ)は低気圧の接近による巻積雲に光が当たると現れる大気光学現象。


生物の行動観察
雨蛙(あまがえる)が鳴けば雨  雨蛙は湿度(しつど)に敏感(びんかん)
魚が水面でパクパクすると雨 晴天が続いて水中の酸素が欠乏
髪毛が縮む時は雨 ・ 髪毛に串が通りにくい時は雨 湿度が高い
台風前には鼠(ねずみ)が逃げ隠(かく)れる
猫が面(つら)(顔)洗えば雨
 湿度で涙腺を刺激するため顔を洗う仕草をする
猫が面(つら)(顔)洗うとき耳の後ろまで手を回せば晴れ
 空気が乾燥して耳がかゆい
蜂が軒下(のきした)に巣を掛くる年は台風が来る
 蜂には台風非難の予知能力(よちのうりょく)があるらしい
燕(つばめ)が低く飛ぶ時ゃ雨 雨前に低い所にいる昆虫を給餌する
朝鳶(とび)は雨、夕鳶は晴れ 朝から鳶が飛ぶときは雨
鳶(とび)が高く飛ぶと嵐が近い 鳶は上昇気流に乗って飛ぶ
鳶(とび)が鳴くと晴れ
 鳶は鳴き声で仲間と交信している「餌があるゾー」
カモメの高飛びは時化前 ・ 鳶(とび)の高飛びは嵐の前ぶれ
烏(からす)のへぐらし 明日は雨
(※日暮(へぐらし)=夕方遅くまで働くこと)
クチナワ(蛇(ヘビ))が出ると雨 雨前の給餌(きゅうじ)行動
クチナワ(蛇(ヘビ))を早く見る年は酷暑(こくしょ)になる
コブ(蜘蛛(くも))が朝から脂(やに)張れバ晴れ 無風状態
コブ(蜘蛛(くも))が低いところに脂(やに)張る年は台風が多い
スガネ(蟻(あり))の行列は雨前
セセリ(蚋(ブユ))が群れると雨 雨前の給餌(きゅうじ)行動
セミが鳴き止むと雨 雨を避ける
蝶が群れ飛ぶ時は雨前 雨前の給餌(きゅうじ)行動


農事と天気予報
五月の夕焼け井手堰(いでせき)落とせ
 大雨の前兆(ぜんちょう) 井手の水を外せ
朝雷は 井手落とし 井手堰(せき)が落ちる程大雨が降る
秋の夕焼け鎌を研げ ・ 夕焼けにゃ鎌研(かま と)げ
 明日は晴天になる
朝雨に女の腕まくり 昼はよい天気になるよ
大雪の年は豊年 害虫の発生が少ない
日照りに不作なし 米作には日照の多い年の方が収穫量が多い


晴天祈願
「照る照る坊主照る坊主 明日天気にな~れ」
遠足・修学旅行・運動会、「どうか晴れますように」